『 お や ゆ び 姫 』



前回までのお話し  「おやゆび姫 1」  「おやゆび姫 2」




 女の子をたいそう気の毒に思った魚たちは、口々に、

『可愛そうだ』

『お嫁になんてさせちゃ駄目だ』

そう呟きながら。どんどん集まってきました。

そこで魚たちは、おやゆび姫が乗っている

葉っぱの周囲に集まって来ると、

その茎を皆で咬み切ったのです。

すると葉っぱに、おやゆび姫を乗せたまま、

川下へと、流れ始めました。

ゆっくりと、少しずつ。

葉っぱは徐々にドロの沼から、離れて行ったのです。

もうこれでヒキガエルは、追いかけては来ないでしょう。



 さておやゆび姫を乗せた葉っぱは、

色んな場所を通り過ぎました。

藪の近くを通った時、

『なんて可愛い女の子なんでしょう。』

おやゆび姫を見つけた小鳥たちは、そう言うと、

綺麗な声で歌い出しました。



 おやゆび姫を乗せた葉っぱは、なおも遠くに流れて、

とうとう見知らぬ国までやって来てしまいました。



 綺麗な真っ白な蝶々が一羽、

いつからか、ずっとおやゆび姫の周りを

ヒラヒラと舞いながらついてきたのです。

そしてとうとう、葉っぱの上にとまりました。

蝶々は、おやゆび姫に恋をしてしまったからです。

おやゆび姫は、綺麗な蝶々を見て笑顔になりました。

もうここには醜いヒキガエルはいません。

それに通り過ぎるところは景色が美しいし、

お日様が輝き、水もキラキラ光っていました。

おやゆび姫は、リボンの帯をほどき、

一方を蝶々に、もう一方を葉っぱに結びました。

すると蝶々は羽ばたき、葉っぱを引きはじめたのです。

葉っぱは、さっきよりもずっと早く、動きました。

おやゆび姫は、嬉しくなって

蝶々に話しかけながら、葉っぱの前の方で立っていました。



 その時です。

一匹の大きなコガネムシが飛んできて、

おやゆび姫を見つけると、前脚で姫を持ち上げ、

あっという間に、連れ去ってしまったのです。



 葉っぱは、そのままどこまでも流れて行ったのです。



 コガネムシに攫われて、森の中へ連れて来られた

可愛そうな、おやゆび姫。

連れ去られた時の、姫のおどろきようは、

一体、どれほどの物だったでしょう。

 しかし姫が、一番可哀そうに思ったのは、

自分のリボンの帯で葉っぱに結び付けてしまった、

あの真っ白な美しい蝶々の事だったのです。

もしも結び目をほどく事が出来なかったら、

蝶々は飢え死にするしかないのですから・・・。

しかしコガネムシは、そんなことはお構いなしに、

森の中で、一番大きな木の、

その中でも、一番大きな葉っぱの上にとまると、

そこにおやゆび姫を乗せたのです。

そして自分は、またどこかに飛んでいったのです。



 少したって、コガネムシが戻って来ると、

前脚には、花から採って来た蜜がついていました。

それを可愛いおやゆび姫に食べさせたのです。

蜜を食べるおやゆび姫を見たコガネムシは、

『この子は、コガネムシなのかな?

 ちっともコガネムシには似てないけど、

 でも、とっても愛らしいなぁ。』

と言ったのでした。



 やがてこの木に住んでいるコガネムシたちが

ゾロゾロと集まってきました。



~本日は、これにて・・・。~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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