『 お や ゆ び 姫 』
昔々、可愛い赤ちゃんを欲しがっている女性がおりました。
でも、その女性はどこへ行ったら子供を授かることができるのか、
わかりませんでしたので、魔法使いのお婆さんの家を訪ね、
『私はとても可愛い子供が欲しいのです。
いったいどこへ行けば授けてもらえるか、教えてください。』
と、聞きました。
すると魔法使いのお婆さんは、
『ああ、良いよ。
そんなことは造作もないことだよ。』
そう云うと、
『この大麦を1粒あげよう。
これはお百姓の畑にいくらでも生えていて、
ニワトリの餌になったりする、ごく普通の大麦とは、
全く違う別の物なんだよ。
これを植木鉢に蒔いておけば、きっと何か出てくるよ。』
魔法使いは、女性に魔法の種を渡しました。
『ありがとうございます。』
女性は喜び、お礼に手持ちの金12シリングを、
魔法使いのお婆さんに渡すと、急いで家に帰り、
その種を綺麗な植木鉢に蒔き、水をやりました。
するとその種は、みるみる双葉が出て、
綺麗な大きな草花が生えたのです。
まるでチューリップそっくりでしたが、
ただ、花はまだ蕾の様に固く閉じていたのです。
『まあ、綺麗な花の蕾ですこと。』
女性はそう言うと、美しい蕾にキスをしました。
するとそのキスと同時に、花弁がパッと開き、
美しい赤いチューリップが咲いたのです。
見た目は、普通のチューリップでしたが、
花の中央の緑色の雌蕊の上に、
愛らしい小さな小さな女の子が、
ちょこんとすわっているではありませんか。
ちょうど女性の親指ほどの大きさの女の子です。
そこで女性はこの女の子を
「おやゆび姫」と呼ぶことにしたのです。
女性は、おやゆび姫にベッドを作りました。
大きなクルミの殻に、丁寧にニスを塗り、
敷布団には、青いスミレの花びらを、
掛け布団は、赤いバラの花びらです。
おやゆび姫は、夜はそこで寝り、
昼はテーブルの上で遊ぶのです。
テーブルには綺麗なお皿に水を入れ、
小さな池を女性は作りました。
皿の池の周囲は、美しい花輪で飾り付けされています。
そして水の上には、
チューリップの花びらが一枚浮んでおり、
おやゆび姫は、その花びらの小舟に乗り、
水の上をたゆたって遊ぶのです。
白馬の2本の毛を櫂(かい)にして、
おやゆび姫は、皿の池のこちら側から、あちら側へと
小舟をすすめました。
その様子と来たら、なんと愛らしい事でしょう。
またおやゆび姫は、歌も歌いました。
愛くるしいほど、小さな綺麗な声で。
そんなある晩のことです。
~今日は、ここまで・・・続きはまた明日。~
ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。
つづくですっ。
