『 ろ く ろ 首 』



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が、次の瞬間には、べつに血の流れた形跡もなく、

頸(くび)が切られた様子もないことがわかった。

そこで回竜は、心のなかでこう考えた。

『これは、化け物の仕業のまぼろしか、それとも、

 ろくろ首の住いにおびきこまれたのだ。

 ……「捜神記(そうじんき)」に、

 もし首のないろくろ首の胴体を見つけて、

 その胴体をほかの場所へ移しておけば、その首は、

 ふたたびもとの頸部(けいぶ)にくっつくことはできない、

 と書いてある。

 また、首がもどってきて、

 自分の胴体が動かされているのを知ると、

 その首は、自分で床に三度ぶつかって、

 鞠のように跳ねかえりながら、

 たいへんこわそうに息をあえいで、

 やがて死んでしまう、

 とも書いてある。

 ところで、もうこれがろくろ首ならば、

 わしのために、ろくなことはあるまい。

 ――で、書物の教え通りにしても

 さしつかえなかろう』……



 回竜は、あるじの胴体の足をつかんで、

窓へ引きずって行って、そとへ押しだした。

それから、裏口へ行ってみると、

戸には閂(かんぬき)がかけてあった。

そこで、首はあけっ放しになっている屋根の煙出しから、

抜け出たのだと推量した。

回竜は、そっと戸の閂をはずして、庭に出てゆき、

できるだけ用心しながら、

むこうの木立のほうへ進んで行った。

すると、木立のなかで、

話し声が聞こえるので、その声のするほうへ、

回竜は、影から影へと忍んでゆき、

とうとう手ごろな隠れ場所に行きついた。

それから、一つの幹のうしろから伺うと、首が――

――みんなで五つ――

飛び回ったり、

飛びながら喋ったりしているのが、

目にとまった。



~本日は、ここまで。~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

つづくですっ。
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