The Gratitude of the ”SAMEBITO” by Lafcadio Hearn
前回迄のお話し 「鮫人のなみだ 1」 「鮫人のなみだ 2」
「鮫人のなみだ 3」 「鮫人のなみだ 4」 「鮫人のなみだ 5」
これを見て、今度は鮫人の方がびっくり仰天して
涙も引っ込んでしまった。
そして藤太郎に、どうしてこんなに目覚ましく回復したのか
聞かせて欲しいと言った。
そこで藤太郎は、三井寺で見た乙女のこと、
その親が欲しがっている途方もない結納の事を話し、
それからこう付け加えた。
『私に一万個の宝石を手に入れる事など、
出来るわけがないと決めてしまっていたから、
申し込んだところで望みは無いと思った。
それですっかり滅入ってしまって、
とうとう病気になったのだ。
ところがどうだ。
今おまえが惜しみない涙を注いでくれたおかげで、
私はたくさんの宝石を手に入れた。
こうなればあの娘を嫁にする事も出来よう。
ただ、石の数がもう少し足りないのだ。
そこで頼みたいのだが、必要な数がそろうように、
どうかあともう少し、泣いてはくれまいか。』
しかし、この求めに鮫人は首を横に振り、
驚きかつ、なじるような口調でこう答えた。
『私を遊女同然にお考えですか?
泣こうと思えば、いつでも涙が流せるとでも?
とんでもないことです。
遊女は客を騙さんが為に、そら涙を流します。
でも海中で暮らしている者たちは、
心にまことの悲しみが無いのに
泣く等と云う事はできません。
先ほど泣いたのは、あなたが死んでしまわれるかと思うと、
嘘偽りで無い嘆きに、胸が痛んだからなのです。
だが今はもう泣こうとしても無理です。
あなたは病気は良くなったと、仰ったでしょう?』
『それでは一体どうしたら良いのか。』
情けなさそうに藤太郎は聞き返した。
『宝石が一万個無ければ、
あの娘をめとることは出来ないのだ。』
前回迄のお話し 「鮫人のなみだ 1」 「鮫人のなみだ 2」
「鮫人のなみだ 3」 「鮫人のなみだ 4」 「鮫人のなみだ 5」
これを見て、今度は鮫人の方がびっくり仰天して
涙も引っ込んでしまった。
そして藤太郎に、どうしてこんなに目覚ましく回復したのか
聞かせて欲しいと言った。
そこで藤太郎は、三井寺で見た乙女のこと、
その親が欲しがっている途方もない結納の事を話し、
それからこう付け加えた。
『私に一万個の宝石を手に入れる事など、
出来るわけがないと決めてしまっていたから、
申し込んだところで望みは無いと思った。
それですっかり滅入ってしまって、
とうとう病気になったのだ。
ところがどうだ。
今おまえが惜しみない涙を注いでくれたおかげで、
私はたくさんの宝石を手に入れた。
こうなればあの娘を嫁にする事も出来よう。
ただ、石の数がもう少し足りないのだ。
そこで頼みたいのだが、必要な数がそろうように、
どうかあともう少し、泣いてはくれまいか。』
しかし、この求めに鮫人は首を横に振り、
驚きかつ、なじるような口調でこう答えた。
『私を遊女同然にお考えですか?
泣こうと思えば、いつでも涙が流せるとでも?
とんでもないことです。
遊女は客を騙さんが為に、そら涙を流します。
でも海中で暮らしている者たちは、
心にまことの悲しみが無いのに
泣く等と云う事はできません。
先ほど泣いたのは、あなたが死んでしまわれるかと思うと、
嘘偽りで無い嘆きに、胸が痛んだからなのです。
だが今はもう泣こうとしても無理です。
あなたは病気は良くなったと、仰ったでしょう?』
『それでは一体どうしたら良いのか。』
情けなさそうに藤太郎は聞き返した。
『宝石が一万個無ければ、
あの娘をめとることは出来ないのだ。』
本日はこのあたりで・・・
Therewith, the Shark-Man, greatly astonished, ceased to weep, and asked Totaro to explain this wonderful cure; and Totaro told him about the young person seen at Mii-dera, and about the extraordinary marriage-gift demanded by her family. "As I felt sure," added Totaro, "that I should never be able to get tne thousand jewels, I supposed that my suit would be hopeless. Then I became very unhappy, and at last fell sick. But now, because of your generous weepoing, I have many precious stones; and I beg that you will be good enough to weep a little more, so as to make up the full number required."
But at this request the Samebito shook his head, and answered in a tone of surprise and of reproach:---
"Do you think that I am like a harlot, -- able to weep whenever I wish? Oh, no! Harlots shed tears in order to deceive men; but creatures of the sea cannot weep without feeling real sorrow. I wept for you because of the true grief that I felt in my heart at the thought that you were going to die. But now I cannot weep for you, because you have told me that your sickness is cured."
"Then what am I to do?" plaintively asked Totaro. "Unless I can get ten thousand jewels, I cannot marry the girl!"
ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。
つづくですっ。
