世界中に夏は訪れなくなった。 作物は育たず、人の世界に争いが始まる。
やがて人々の心からモラルは失なわれ、悪と闇とが広がりを見せたのだ。
その悪に残忍な者共はますます共鳴し、闇はどんどん広がりを増す。
そして神々の光は・・・
太陽と月が、狼に喰われたのと同じ頃、
大地は至るところで、大きく震え出したのです。
この大地の揺れのせいで、太古から生き続けてきた、
多くの巨木たちは、バタバタと根元から倒れてしまいました。
世界中の高い山も、低い山も全てが揺れました。
そしてどの山も、大きくぐらつき山頂が崩れ落ち、
その形は、どんどん変わってしまったのです。
この世の9つある世界の、全ての場所が大揺れに揺れ、
山も川も、洞穴も、
あらゆる場所の地形が変わって行ったのです。
その為に、捕えていた者たちの戒めを
固定していた大岩が割れてしまい、
捕縛されていた者たちの手枷や足枷が、ゆるんでしまい、
囚われの身だった者たちは、自由になってしまったのです。
その中の1人には、
口には剣が刺さっており、その為に口を閉じられず、
そこから溢れ出る唾液で、
自由になりたいと云う希望の川、ヴォーン川を作りながら、
捕えられていたロキの息子、大狼のフェンリルがいました。
そのフェンリルの足枷に使われている、
魔法の紐グレイプニルと、
ギョルと云う名の、穴の開いた大岩とを繋ぎとめていた
大きくて、とても丈夫な鎖のゲルギヤも、
この大地の揺らぎと同時に、はじけ飛び壊れてしまったのです。
しかしこの大揺れでも、
フェンリルの口に突き刺さった剣だけは抜けず、
大口は閉じられずにいました。
大口を開けたままであっても、
もうフェンリルは囚われの身では無いのです。
自由を手にした大狼は、
ゆっくりと立ち上がると、その場から走り出しました。
ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪
おしまいっ
