悲しみに満ちたアース神たちが、バルドルの死を受け入れ始めた頃、
海神エーギルは醸造した酒を振る舞うために、神々を館に招きました。
その宴で酒が入ったロキは・・・




お話しの始まり 『北欧神話 1』    前回の記事 『ロキの口論 13』





すると、そこに片腕のチュールが割り込み、

ニヨルドの息子フレイを庇うように、



フレイは、全ての勇敢な神々の中でも、

 もっとも高貴で、勇敢な神だ。

 フレイは、娘を弄んだり、

 他の男の妻を誘惑したことなんかないぞ!

 それに拘束されている人間たちの、

 手枷や足枷を外し、自由にしてやっているのだ!

 フレイは神々と、人間を愛している神なのだ!』



と、大声で叫びました。

するとロキは、



チュールよ、わかったわかった。

 お前は、誰かが諍いを起こしている時、

 それを仲裁するのが、下手だったっけなぁ。』



と、とても意地悪な言い方をし始めました。さらに、



『お前が、どんな風に大切な右腕を失ったか、

 忘れちまったのかい?

 忘れちまったんだったら、

 それを俺が思い出させてやるさ。』



と、ロキが語ると、チュールは、



『確かに俺は、右腕を失った。

 しかしお前も、お前の息子、

 あの悪名高いフローズヴィトニルフェンリルの別名)

 狂暴な大きな口を失ったのさ。

 俺たちは両方とも、不運だったのさ。

 今は、フェンリルは囚われたまま。

 この世の終りの時まで、イライラとしながら、

 その時を待つしか方法がないってわけさ。』



と、チュールキに言うのです。



するとロキは、眼を真っ赤にしながら、



『もうたくさんだ、チュール

 お前の愛する良き妻が、幸運にも、

 俺様の可愛い狼の息子の母親だった。

 お前は息子の母親を、寝取った償いとして、

 俺に、いくらかでも慰謝料を払った事があるか?

 ふん、その償いで、お前は右腕を失ったのさ!』






- 追 記 -

ここに来てやっと、どうしてチュールが、ロキの息子の狼のフェンリルを世話をするに至ったか、

という理由が出てきましたよぉ。

参照は、 『ロキの子供たち 11』 ~ 『ロキの子供たち 26』

良かったら読んでみてください。



チュールは、フェンリルヨルムンガンドヘル というロキの3人の子供の母親であり、

ロキの妾だった巨人の女と、結婚しちゃったのです。

そう云う事情から、フェンリルを捕まえた後、神々からの罰なのか、義父としての義務なのか、

フェンリルの飼育係りに、ならざるを得なかったと、ここに来てロキが暴露をしたのです。

しかしフェンリルを養育した挙げ句、片腕を食いちぎられたチュール・・・。

どうしてチュールが、ロキの妾の女巨人と結婚をしたのかについては、判りませんが、

他の人々、神々から、負い目を感じる・・・

そんな一生、重荷を背負いこむような恋愛や、結婚は避けたいですね。



ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪

おしまいっ
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