愛しい息子の死が、どうしても避けられないと知った母フレッガ。
フレッガは何としても、息子の死を避けるために、
世界中の全ての動植物、そして形なす物、姿無き者に至る全てのものに
息子の命を奪わないことを誓わせたのですが・・・
お話しの始まり 『北欧神話 1』 前回の記事 『バルドルの死 35』
ヘルモードは、更にまた多くの川を渡りました。
そして最後の川、渦巻く氷の大河ギョルにやって来たのです。
スレイプニルは、その川の上流へと駆けて行くと、
そこには氷の大河を渡る、大きな橋が架かっていたのです。
ヘルモードは、スレイプニルを橋のたもとで止め、
荒い呼吸を整えさせると、
速度を落として、その橋を渡らせたのです。
よく見ると、その橋は黄金の破片で
その表面を覆われておりました。
ヘルモードが、この橋を渡り切ろうという時、
橋の番人の乙女モーズルが、行く手を遮ったのです。
乙女は、青白い腕を片方だけあげて、
ヘルモードを呼びとめたのです。
『この先に行く前に、あなたの名と素性を教えなさい。』
ヘルモードは、乙女の質問には答えませんでした。
『昨日は、死者が5組、この同じ場所を、
馬に乗って、通って行ったのです。
しかし彼らが立てた、足音よりも、
あなたの立てる足音の方が、数段うるさいのです。
何故そんなにも騒々しく、ここを通ろうとするのですか?』
再び、モーズルはヘルモードに質問したのです。
しかし、この問いにも、ヘルモードは答えません。
『あなたは、ここを通るべき死者には、全く見えないのです。
もう一度聞きます。
あなたは、一体誰なのですか?』
そこでヘルモードは、
『私の名はヘルモード。 オーディンの息子だ。
私は、死んだ兄弟のバルドルを探しに、
はるばる冥界、ヘルヘイムへと行かねばならぬのだ。
乙女よ、あなたはバルドルが、
ここを通るのを、見なかったか?』
と聞くと、
『彼は、この川を渡っていきましたよ。
この橋を通って、川を越えたのです。
でもどうか気を付けて。
冥界への道のりは、ここからさらに遠いのです。
あなたは、随分と遠くまで来ましたが、
まだ先は長いのです。
ここからさらに北へと進み、
そして地下へと降りて行くのです。』
モーズルは、そう答えたのです。
ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪
おしまいっ
