愛しい息子の死が、どうしても避けられないと知った母フレッガ。
フレッガは何としても、息子の死を避けるために、
世界中の全ての動植物、そして形なす物、姿無き者に至る全てのものに
息子の命を奪わないことを誓わせたのですが・・・




お話しの始まり 『北欧神話 1』    前回の記事 『バルドルの死 34』





沖へと流れて行く、

燃え上がったバルドルの船、リングホルンを見送りながら、

会葬者たちは、泣きながらいつまでも、

皆の愛するバルドルと、その妻ナンナのことを語りました。



遠ざかるリングホルンは、

最初は船の形が大きく解りました。

しかしやがて、船全体が大きな炎に包まれ、

やがて水平線の向こうの雲の中へと消えて行ったのです。



さてバルドルが殺された直後、

彼の母から、冥界に行くよう頼まれたヘルモードは、

9回の太陽と、9回の夜の間中、

オーディンの馬、スレイプニルに乗り続け走り続けました。



谷間を通り、岩だらけの山を走り、

それはとてつもなく遠く、果て無い旅でした。



やがて、冥界へと続く谷へと入って行ったのです。



そこはあまりに深く、あまりに暗く、

どんなに目を凝らしても、何も見えないヘルモードは、

突然、足元の大地が消えてしまったかのような

そんな錯覚を覚えずには、いられないのでした。



やがて冷たい霧が、地の底から噴き出してきました。

それは沢山の白い手が地底から

ヘルモードを冥界の住人になるよう、おいでと、

誘って来るかのように、襲い掛かって来たのです。



ヘルモードは恐ろしくなり、その場から早く逃れようと、

スレイプニルに、鞭を入れました。



しかしその先には、いくつもの川があり、

どんなに先を急いでも、恐ろしい白い手の招きは、

ずっとヘルモードを誘って来るのです。



その白い霧の手を作るいくつもの川は、

すべてフヴェルゲルミルの大きな泉から流れ出ており、

その流れを止めることも、霧を止めることも、

この世の誰にも出来ない事なのです。




ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪

おしまいっ
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