愛しい息子の死が、どうしても避けられないと知った母フレッガ。
フレッガは何としても、息子の死を避けるために、
世界中の全ての動植物、そして形なす物、姿無き者に至る全てのものに
息子の命を奪わないことを誓わせたのですが・・・




お話しの始まり 『北欧神話 1』    前回の記事 『バルドルの死 22』





辺りは突如、静寂に包まれました。

ここグラズヘイムには、物音ひとつありません。

神々は驚き、声を上げることも、動く事も出来ません。

皆から愛され、もっとも賢い神の息絶えて横たわった姿を

ただただ、見つめるしか手立てがないのです。



倒れている美しい神を抱き上げようとも、

驚きが勝ってしまい、誰もその場を動く事が出来ないのです。



そして徐々に身体が動くようになった時、

誰からともなく、小枝が飛んできた方向を、

皆が見つめ始めたのです。



そこには盲目のヘズと、すぐ後ろにはロキがおりました。



大勢の神々は、誰がバルドルを殺したのか、

誰も疑いを持ちませんでした。

ロキが、ヘズを唆(そそのか)したと云う事を。



しかし、ここアースガルドの中で、

血を流すことが許されておりません。

神聖な場所を、穢してはならないのです。



たとえバルドルが殺され、その復讐の為であっても、

決して、この場所でこれ以上 

血を流すことをしてはならぬのです。



大勢の神々は、悲しく、悔しく思いました。

しかし誰一人、その場で

バルドルの仇を打とうとは、しなかったのです。



ヘズは突然、当たりが静かになった事で、

何が起きたのかを察しました。

しかし、目が見えないゆえに、

皆の恐ろしい顔を見ることはできません。



一方、ロキは、皆の視線に耐えきれず、

こそこそとその場から逃げだすと、

グラズヘイムの入り口まで、大股で歩いて行ったのです。

そして闇の中に紛れ込んで行ったのでした。




ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪

おしまいっ
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