アースガルドで一番美しい神、バルドル。
皆から愛されるこの神は、もう何日も悪夢でうなされ衰弱しておりました。
バルドルの父オーディンと母のフレッガ、そしてアースガルド中の神々は、
悪夢から、この美しい神を救う為の話し合いをするのです。




お話しの始まり 『北欧神話 1』    前回の記事 『バルドルの夢 4』





女の預言者の墓をじっと見つめながら、

呪文を唱え始めて間もなく、

暗い土の中から、青ざめた女の亡霊が立ち上がったのです。



『誰だ、私を無理やり起こした者は。

 私を悲哀に狩り出そうと云う者は、誰なのだ。

 雪は私の腐りゆく身体の上に積もった。

 雨は、私の身体を貫き、染み通って行った。

 私は、長い間、死の眠りについていたのに、

 その私を、無理やり起こしたのは、誰なのだ!』



女の亡霊は、そう呻き声をあげたのでした。



『わしの名は、ヴェグタム(さすらう者)。

 ヴァルタムの息子だ。

 わしに、冥界(ヘルヘイム)の事を教えて欲しいのだ。

 わしは、この世の全ての世界を、ほうぼう旅してきた。

 そして多くの事を見聞きして、沢山の知識を持っておる。

 しかし、わからぬことがあるのだ。

 なぜ、ヘルロキの娘・冥界の管理者)の館の長椅子に、

 黄金の腕輪が転がっているのだ?

 どうしてヘルの館には、似つかわしくない黄金の品々で、

 館の中の長椅子が飾られているのだ。

 一体、ヘルヘイムでは、

 誰がやって来るのを、待っているというのだ?』



オーディンが、女の亡霊に尋ねたのです。

するとこの預言者の亡霊は、



『輝く蜜酒は、バルドルの為に醸造されている。

 醸造中の大釜から、蜜酒を盗まれぬよう、

 盾で大釜を覆い、守っている。

 ヘルヘイムでは、栄光をもぎ取る。

 しかし神々は、今までにない絶望に満たされるだろう。

 ああああ、私はこれ以上は、話したくはない。

 もうこれ以上、何も言いたくはない・・・。』



と語ったのでした。




ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪

おしまいっ
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