巨人退治からの帰路、トールの前に瀬戸が現れました。

何とか冷たい水に浸からずに、対岸へと渡りたい雷の神トール。

対岸にいる渡し舟の船頭に、舟を出して欲しいと伝えたのですが・・・




お話しの始まり 『北欧神話 1』    前回の記事 『ハルバルドの呪い 14』





船頭のハルバルドは、

自分自身がトールに難癖をつけ、

渡し船を出してやらない事を棚に上げ、

トールを、また馬鹿にしたのでした。



『なんだと! 

 お前が俺を恐れ、難癖をつけた上に、

 舟を出さないだけじゃないか。

 この女々しい船頭めが!

 手間取らせているのは、お前の方だろう!』



トールはまるで、檻に閉じ込められている猛獣のように、

その場を行ったり来たり、

船頭を睨みつけながら、イライラと歩き回るばかりです。



その場を歩き回るトールを、

対岸に居る船頭は、笑って眺めておりました。



トールの怒りで真っ赤な眼で、船頭を睨みつけながら、



『いくつかお前に、説教してやりたいことがある。

 黙ってその舟に乗り、こちら岸にやって来るが良い。

 しかしお前は、口をしっかりと閉じ、

 何も語らずに、静かに来るが良い。

 そして、この俺をそちら岸に渡すことだ。』



世界中の空に響き渡るような大声で、対岸へ叫びました。



『ふん、誰がお前をわしの大切な舟に乗せるものか!

 お前なんて、どっかに行ってしまえばいいんだ!』



ハルバルドは、そう大声で言い返してきたのです。



トールはその場にしゃがむと、

冷たい瀬戸の水面に写る、自分の姿を見ました。

そこに写ったトールの顔は怒りに燃え、真っ赤です。

真っ赤になっている顔を見たトールは、

この船頭がとのやり取りの時間が、いかに長かったか。

貴重な時間を、無駄に費やしたことを悟ったのでした。




ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪

おしまいっ
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