巨人退治からの帰路、トールの前に瀬戸が現れました。

何とか冷たい水に浸からずに、対岸へと渡りたい雷の神トール。

対岸にいる渡し舟の船頭に、舟を出して欲しいと伝えたのですが・・・




お話しの始まり 『北欧神話 1』    前回の記事 『ハルバルドの呪い 9』





ハルバルドは、



『わしはヴァルランド国に、悲惨な戦いを巻き起こしたのさ。

 わしは王子たちを互いに憎しみ合うよう、けしかけた。

 すると奴らは、激しく戦い出したのさ。

 わしはあの国の平和を妨げ、

 虐殺の国にしてやったのさ! あはははは。』



そういうと、ハルバルドは高らかに笑ったのです。

これを聞いたトールの眉間には、太い皺が寄りました。

そして対岸の船頭を、睨みつけながら、

尚も続く、ハルバルドの話しを聞いたのです。



『高貴なお生まれの奴らが、次々と戦いに倒れた後、

 こいつらはな、戦いの神オーディンの元へ

 ワルキューレたちと共に、旅立って行ったのさ。

 わしはオーディンに、戦う戦士たちを贈ったのさ。

 だがトール、お前はせいぜい、オーディンの為に、

 奴隷の世話でもしているだけなのだろう?』



そう言うと、再び、トールをバカにしたように、

ハルバルドは大げさに笑って見せたのです。



『人間を神々へ捧げることを、お前に任せてしまったら、

 とんでもないことになる。

 神々へ、人間の勇者を捧げる件、

 お前は口出しも、手出しもする権利はないはずだ!』



トールは、ハルバルドに一喝したのでした。



『ふん、お前は力は強いが、心が弱いな。

 お前は、以前、余りに恐ろしい事が起きた時、

 デカい手袋の中に、コソコソ隠れて、

 ぶるぶる震えあがっていた時があったな。

 その時なんざ、自分が雷の神であることすら、

 思い出せない程、

 ぶるぶる震えあがっていたのさ。

 邪悪な小人の兄弟フィアラルガラールに、

 自分の存在を気付かれまいと、

 その手袋の中でガタガタ震えないように、

 身体を抑え、オナラもクシャミも我慢して、

 小人たちに感づかれまいと、酷くこわがってのさ。』



『この女々しい船頭めが。

 俺がそちら側に居ないことを良い事に、

 言いたい放題だな。

 俺がそっちに渡った時には、

 お前を冥界ヘル)へ叩き落としてやるからな!』



ハルバルドは、トールの過去の

あった事も、無かったことも織り交ぜながら、

トールをバカにし、冷やかし続け、

その度にトールは、怒りをあらわにし続けました。




ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪

おしまいっ
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