巨人退治からの帰路、トールの前に瀬戸が現れました。
何とか冷たい水に浸からずに、対岸へと渡りたい雷の神トール。
対岸にいる渡し舟の船頭に、舟を出して欲しいと伝えたのですが・・・
お話しの始まり 『北欧神話 1』 前回の記事 『ハルバルドの呪い 5』
トールは、自分が戦の狼(ヒルドールヴ)の息子であり、
アースガルドで一番の力持ちである、
雷の神のトールだと、伝えました。
そして、
『船頭よ、お前こそ一体誰なのだ。』
と叫んだのです。
『わしか? わしの名はハルバルドさ。
別に名前を隠してなんかいないさ。』
『何故、隠してなんかいないのに、
お前の事を話さないんだ?
本当は、隠しておきたいのか?
もしや俺は、国外に追放された罪人とでも、
会話をしているのか?』
とトールは聞き、ハルバルドは、
『もしそうならどうする?
わしが、追放者だったら、どうだっていうんだい?
もしも、わしの運が尽きて無かったら、
お前なんかには、捕まらないし、
自分の身は、自分で守って見せるさ。』
と、船頭のハルバルドは、言い返したのです。
トールは、このハルバルドの言い草に呆れながらも、
イライラと怒りを覚えました。
右手を握りしめ、
ゆっくりと視線を、冷たい瀬戸の水面に移しながら、
『この冷たい瀬戸に腰まで浸かりながら、
歩いて渡り切って、
お前を殴り飛ばす価値を、お前には見いだせないな。
だがな、こんなに嫌な気分にさせられて、
この礼は、必ずしてやるからな。
意気地なしの船頭め。
俺がこの瀬戸を渡り切ったらな!!』
と言うと、トールは顔をあげ、船頭を真っ直ぐ見ながら、
右手の拳を、自分の髭にこすり付け、
殴りつけるように、して見せたのです。
ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪
おしまいっ
