巨人退治からの帰路、トールの前に瀬戸が現れました。

何とか冷たい水に浸からずに、対岸へと渡りたい雷の神トール。

対岸にいる渡し舟の船頭に、舟を出して欲しいと伝えたのですが・・・




お話しの始まり 『北欧神話 1』    前回の記事 『ハルバルドの呪い 4』





『そこにある小舟は、一体誰の舟なんだ?』



トールが再び、対岸の船頭に尋ねると、



『これか、これはな

 戦の狼ヒルドールヴ) (数々あるオーディンの呼称の1つ)が、

 わしにこの舟を委ねたのさ。

 お前は、知っているか?

 戦の狼ヒルドールヴ / オーディンの事は賢者だ。

 ラーズセイ(助言という意味)に住んでいるのさ。

 その賢者が、わしにこう言ったのさ。

 「決して泥棒は乗せるな。馬泥棒も駄目だ。

  立派な者たちと、顔見知りだけを乗せるのだ。」

 そう言ったのさ。

 だからお前が、この舟に乗りたいなら、

 まずは、お前の名前を教えろ!』



と、向こう岸の船頭は怒鳴ったのでした。

トールは、叫びました。



『なんだ、そうなのか。

 では教えてやるさ。

 俺は今は、一人で旅をしているけれども、

 お前の言った戦の狼ヒルドールヴ

 オーディンの息子の一人だ。

 メイリの兄弟で、お前がいう馬泥棒のマグニの父

 アースガルドの神々の中で、一番強い者だ。

 船頭よ、お前は今、

 アースガルドトールと、話しをしているのだ!』



この力強い言葉に、瀬戸の水面は波立ちました。

その波は、徐々に大きくなり、

対岸の船頭の足元まで届いて、砕け散ったのです。




ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪

おしまいっ
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