動物たちが愛を育み、活動的になる暖かい季節は、
9つ全ての世界の者たちが、心待ちにしている狩猟の時でもあります。
そんな季節に雷の神のトールは、巨人を退治しようと、
悪戯者のロキと共に、巨人の国の首都、ウトガルドを訪れるのです・・・




お話しの始まり 『北欧神話 1』    前回の記事 『ウトガルドで技競べ 39』





トールは、もうほとんど飲み切ったと思いながら、

角杯の中を覗いたのです。

すると あれほど一気に飲みこんだと思っていた酒が、

殆ど減っていないのです。



角杯に注がれた酒の表面が

ほんの少し下がっただけで、殆ど残っているのです。



あれほど一気に飲んだのに、なぜ?

と、トールは驚いてしまいました。



ウトガルドの王は、その様子を眺めながら、

『お前は確かに、ずいぶん沢山飲んだようだな。

 だが、ここに居る連中の足元にも及ばんようだ。』

そうニヤニヤと呟いたのです。



角杯を持つトールの顔が、引き攣りました。



『しかし噂に聞くアースガルドトールは、

 こんなもんじゃないんだろう?

 本当の力は、もったい無いから、

 まだ、俺たちに見せてないのだろう?

 巨人の英雄になんぞ、なりたくもないから、

 わざと1口では飲み切らず、2口で飲もうという、

 魂胆なのだろう?』

ウトガルド・ローキは、さも嫌味っぽく、

トールに話しかけるのです。



トールは何も言わず、再び、大きな角杯を

持ち上げると、酒を飲み始めたのでした。



ここまで読んでくださって、ありがとでしたぁ♪

おしまいっ
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