動物たちが愛を育み、活動的になる暖かい季節は、
9つ全ての世界の者たちが、心待ちにしている狩猟の時でもあります。
そんな季節に雷の神のトールは、巨人を退治しようと、
悪戯者のロキと共に、巨人の国の首都、ウトガルドを訪れるのです・・・




お話しの始まり 『北欧神話 1』     前回の記事 『ウトガルドで技競べ 4』





貧しい家には、パンも無ければ、鶏を飼う余裕すらないと、

うつむいてしまった農夫を見たトールは、

『では、俺の山羊を食えば良いさ。』

と、声を大きくして提案したのです。



そう云うとトールは、躊躇することも無く、

2頭の車を曳かせる山羊を、大きな布の上に立たせ、

苦も無くしめて、皮を剥ぎ、

大きく切り分けて、肉の塊りにさせました。



トールは、肉の塊を掴むと、

『これで今夜の肉が出来た。』

と、農夫の女房に手渡しました。



それを見ていた農夫と家族たちは、

今までに、こんな立派なご馳走を見たことは皆無だったのと、

余りの空腹とで、その場に座り込んでしまったほどです。



女房は急いで火を熾(おこ)すと、

鍋の中にその肉の塊を放り込みました。

久しぶりのご馳走にあり付ける4人は、

肉が茹で上がるまで、待ちきれずに

この鍋の傍から、一時も離れることがありませんでした。



やがて山羊の肉が食べごろになった時に、トール

『良いか、これだけは守らなくっちゃ駄目だ。

 肉は食べても良い。

 だが、骨を傷つけることは許さない!

 そして食い終った骨は、あの皮が置かれてる布の中に、

 一つ残さず入れるんだ。

 良いか、骨は丁寧に扱って、決して傷つけるなよ。』

と、その場に居た全員に、言いきかせました。





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おしまいっ。