『魏書』巻三十「烏丸鮮卑東夷伝」の一部に倭の記述がある。
『魏志倭人伝』は、中国の歴史書『三国志』中の「魏書」第30巻 烏丸鮮卑 東夷伝 倭人 条の略称で、当時、日本列島にいた民族・住民の倭人（日本人）の習俗や地理などについて書かれています。
『三国志』は、西晋の陳寿により3世紀末（280年（呉の滅亡）- 297年（陳寿の没年）の間）に書かれ、陳寿の死後、中国では正史として重んじられました。
『三国志』の中に「倭人伝」という独立した列伝が存在したわけではなく、『魏書』巻三十「烏丸鮮卑東夷伝」の一部に倭の記述がある。中国の正史中で、はじめて日本列島に関するまとまった記事が書かれています。
倭
当時の倭（後の日本とする説もある）に、女王の都する邪馬台国を中心とした国が存在し、また女王に属さない国も存在していたことが記されており、その位置・官名、生活様式についての記述が見られます。
また、本書には当時の倭人の風習や動植物の様子が記述されていて、3世紀の日本列島を知る史料となっています。
景初2年（238年）に、邪馬台国女王卑弥呼の使者が明帝への拝謁を求めて洛陽に到着したとあり、これが事実であれば、拝謁した皇帝は曹叡ということになります。
しかし、必ずしも当時の日本列島の状況を正確に伝えているとは限らないことから、邪馬台国に関する論争の原因になっています。
主な内容
1. **倭国の地理と民族**
- 倭国は、東方に海を渡った場所にあり、多くの小国が存在するとされています。
- 「倭」は、百余国が存在し、その中で最も有力な国が邪馬台国であるとされています。
2. **邪馬台国**
- 邪馬台国は、多くの倭国の中で最も強力で、卑弥呼という女王が支配していました。
- 卑弥呼は神通力を持つ巫女であり、国の政治を行う際には神託を得ていたと記述されています。
3. **卑弥呼**
- 卑弥呼は、男子が政権を持つことが難しかったために立てられた女王とされています。
- 彼女は魏に使者を送り、親魏倭王の称号を得るなど、中国との外交関係を築いていました。
4. **魏との関係**
- 邪馬台国は、魏に使者を派遣し、魏の皇帝から金印と称号を授与されました。
- これにより、邪馬台国は魏の支配下にあると見なされ、他の倭国に対する優位性を確立しました。
5. **文化と生活**
- 倭人の風俗習慣や衣食住、婚姻制度、葬儀の習慣などについても記載されています。
- 例えば、倭人は入墨の習慣があり、これを通じて身分や職業が示されていたといいます。
歴史的意義
『魏志倭人伝』は、日本古代史を研究する上で非常に重要な史料であり、特に邪馬台国の所在地に関する論争は今も続いています。
邪馬台国がどこにあったのか、またその後の日本の統一国家形成にどのような影響を与えたのかを解明するための鍵となっています。
論争点
1. **邪馬台国の所在地**
- 九州説と畿内説が主な論争点であり、考古学的な発見や地名の一致を巡って多くの研究がなされています。
2. **卑弥呼の正体**
- 卑弥呼が実際にどのような人物であったのか、また彼女の支配体制がどのように機能していたのかについても多くの議論があります。
『魏志倭人伝』は、倭国（日本）の古代史を知るための貴重な記録であり、今後も多くの研究が期待されます。
（注）
（私から：魏志倭人伝は長いので、全文は掲載しません）
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