改めて、自費出版で本を出すまでをくわしく説明したい。
 まず、「何のために本を出すのか」を決める。単に情報を発信するだけならブログや電子書籍で十分だ。発注を受けてから印刷・製本する「POD出版」もあるが、単価は高くなるのでご注意を。
 本を出す目的が決まれば、どのような読者に対し、どのような内容を、どれくらいのボリュームで伝えるのかを想定し、それをまとめて企画書にする。
 企画がまとまれば、出版工程のどこまでを依頼するのかを決め、自費出版社を選定。選んだ出版社に見積書を依頼する。このとき、発行部数やページ数、判型、紙質などを伝える。見積もりと出版条件を精査して契約し、スケジュールと台割案を決める。その後は、執筆から校正、校了、印刷、製本、配本まで、先に説明したとおりだ。もちろん、定価もタイトルも著者が決める。
 発行部数は1000部未満からスタートしたほうがいい。多く刷ると在庫が増え、少なすぎると1冊当たりの印刷単価が高くなる。
 売れ行きがよければ増刷も視野に入れる。ただ、現在はオンデマンド印刷が一般的なので、初版も増刷分も印刷単価は同じ。初版が1000部、2刷が300部だと2刷のほうが印刷費は高くなる。初版をある程度刷って、売り切れを狙うほうが得策だ。
 また、増刷できるほど評判がよければ、自費出版を商業出版に移行させるという方法もある。商業出版社に自費出版用の原稿を売り込むわけだ。サンプルが出来上がっているし、売れ行きの実績もあるので審査は通りやすい。ただし、編集者によって加筆や修正の指示が出ることは覚悟しておかなければならない。
 さらに、自費出版でデビューして商業出版の作家になった人は多くいる。作家志望でなくても、自費出版からスタートして商業出版の依頼を受けることはありうるし、そこから講演会やトークショーの出場依頼が舞い込むこともある。
 本当に自分の書きたいものを一つにまとめ、世の中にアピールする。手間も費用もかかるが、それだけの価値は必ず存在するのだ。
 
◇ まとめ ◇

 

【商業出版】
メリット
・費用がかからない
・原稿料や印税が受け取れる
・発行部数が多い
・全国に流通する

 

デメリット
・自分で企画内容をアピールしなければならない
・出版が決まるまでのハードルが高い
・刊行まで時間がかかる
・出版社のほうが立場は上
・文章内容に編集者の意向が大きく反映される
・タイトルやデザイン、販売価格などを著者は決められない

 

【自費出版】
メリット
・自分の書きたいことが100%反映できる
・最短スケジュールで刊行できる
・著者のほうが立場は上
・出版社を選べる
・デザインやタイトルなどすべてに決定権がある
・編集からの無理な修正指示がない
・売上に応じて高率の印税が受け取れる

 

デメリット
・費用が高額
・発行部数が少ない
・全国での流通は難しい
・在庫処理は自己責任になる

 

  了

 

 ここまで読んで、自費出版に興味を持たれた方。ぜひ、弊社にご一報ください。企画の立て方から出版社選び、見積もり依頼の条件設定から進行表・台割案の作成、編集、デザイン、添削、校正、校閲まで、すべてをお手伝いいたします。
 質問やご相談、コーディネートおよびプロデュースのご依頼は
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【筆者紹介】
歯黒猛夫(はぐろ・たけお)
1962年生まれ、大阪府岸和田市出身・在住のライター兼出版プロデューサー、出版コーディネーター。大阪に拠点を置く編集プロダクション「オフィステイクオー」代表。主な著作に『大阪がすごい』(筑摩書房)ほか。『大阪人も驚く 大阪超マニアック案内』(河出書房新社)で第13回大阪ほんま本大賞特別賞受賞。プロデュース作は『小バラ色の人生 新野新で語る大阪放送界史』(神戸新聞総合出版センター)ほか。