私はアルコール依存症者。
2019年、精神科病院に入院した。
以来酒をやめていて、断酒7年目。
25年続けた寿司屋をやめ、
今は生活支援員という仕事をしている。
お酒をやめたい
人に向けた記事
(過去記事とダブりあり)
お酒をのんでタヒのうと
変な言い方だが、
私は40歳まで普通のアル中だった。
しかし40歳の頃のある日、
「朝から酒を飲んでタヒのう。」と決めた。
その5年前には父親をアルコール依存症の肝不全で亡くしていたから、だいたい6年以内だろうと考えていた。
朝からの酒。
最初の3ヶ月は楽しかったが、手が震える離脱症状が出るようになってしまった。
手の震えを抑えるために酒を飲んだ。
お酒を飲んでタヒのうとしてたのだから、手が震えるくらいでやめようとは思わなかった。
寿司屋の大将をしていて、従業員もいて家族もあった。子どもは3人。当時、中学生1人と小学生2人。
責任のある立場なのに、酒を飲むこと以外なにも考えない生き物になっていた。
毎日365日。朝から酒を飲んだ。
4年間、連続飲酒を続けた。
身体は壊れた。
アルコール性の肝硬変になった肝臓は硬く大きくなり腹から浮き出ていた。
肌は荒れ、亡くなる直前の父親ソックリになっていた。
25°の焼酎をストレートで飲むから、食道から胃の入り口が痛かった。
頭も壊れた。
アルコールの過剰摂取で脳も縮んでいた。
記憶が出来なくて注文が覚えられなかったり、何度も同じ話をしてしまいお客に呆れられた。
でもあの頃の私は、
(思ったより早く最後が来そうだな。それにしても、こんなに苦しいんだ。アル中の最後って。)
とたまに思うだけで、
朦朧とした意識の中でも「酒」「酒」「さけー」と考える時間が大半なのでした。
身体が思いっきりツラくなる。
重度アルコール依存症者は最後、苦しんで亡くなります。
私は介護士として普通の人より人の最後を見ています。そしてアルコール依存症で亡くなっていく父親を見て、私もその寸前までいきました。
施設で亡くなる高齢者、
酒を飲み続けて亡くなるアル中、明らかに違います。
高齢者施設で亡くなる人のほとんどは、静かでした。
私が見た範囲では全員、静かでした。
しかし父親は違ったし、私も違った。
「内臓全てが痛いのでは。」と思うほどだった。
助けてくれるのはアルコールだけ。
アルコールさえ飲めば酩酊でき、痛いのを忘れられる。
泣きながら、鼻血を拭きながら、ただただ日本酒を飲んでいました。
そこまで飲むには原因があるが、先ずは断酒
アルコールは薬物です。
「キングオブドラッグ」ともいわれます。
普通の人ならアルコール依存症になる前に寿命が来るのですが、お酒は飲めば飲むほど依存症に近づく病気です。
ですから普通の人でも長年酒を飲み続ければアルコール依存症になるといわれています。
しかし私のように20代の若いうちから問題飲酒を続ける人には、生い立ちや家庭環境に問題があることがあります。
そういった場合、
①育った環境から問題を探り、捉え方を改めていく解決方法と、
②酒を飲むようにしか指示をしない脳に抵抗して断酒をする、
①と②を両方同時に出来れば良いのですが、
原因となる①をするには環境を整える必要がありますし、取り組むには体力がいります。
生い立ちへの振り返りは後に回し、先ずは断酒ができる環境を整えるべく情報を集めます。
病院受診を受け入れる。
妻は私に酒をやめるよう何度言ったかわかりません。
ですが受け入れられませんでした。
理由は簡単でした。
妻が私の話を聴いてくれなかったからでした。
私は生い立ちを憎み、寿司屋にその感情を転移していました。
立派に後を継いだ寿司屋の看板に泥を塗って、自分もいなくなる。
妻にその話を聴いてもらいたかった。
だけど、自分で意識も整理もできてない感情を話せなかった。
しかし転機がありました。
妻が然るべき人に相談して、離婚を決意したことで変化をしました。
妻の「聞く」態度が「聴く」に変化したのでした。
「アイメッセージ」から「ユーメッセージ」です。
「聴く」は、十四の人心を持って耳にする。
自身を高次の存在にして、相手のことを推し量るという意味があります。
妻は私と、寿司屋の共同の経営者である、夫婦である、という気持ちを捨て「私は私」と自立してくれていました。
妻が「あなたの話をして。」と毎夜聴いてくれた7年前、私は泣き崩れ精神科病院の受診を決めました。
酒を飲む楽しみを
アルコール依存症者に断酒をすすめても、
「酒という唯一の楽しみを奪うな。」
と言います。
私もそうでした。
ですがアルコール依存症は脳の病気です。
「唯一の楽しみ。」
と思わせているのは依存症者の脳とアルコールです。
「酒が無かったら、何を楽しみに生きていけばいいのか。」
そう言われると、酒以上の楽しみは無いかもしれません。
それほど強烈な薬物なのだと知ってください。
あなたの寿命を何十年も縮めるドラッグなのだと。
酒をやめると「なにか物足りない。」と思います。
しかし人生ってそこからなんです。
なにか物足りないから、散歩でもしてみよう。
なにか物足りないから、庭の草でも抜いてみよう。
そうして回復の人生が始まっていきます。


