一体どういう事だろうか。


昨日、新しく始まった新イベントで、新たな「機械天使」、「サイバーエンジェル-伊舎那-」が実装された。

「バック除去に2回攻撃、なるほど悪くない」。
そう思った方も少なくないだろうし、もちろん、「機械天使デッキ」を組んで荒んだ環境に古の風を吹かせてやろうと意気込んだ方もいただろう。

そんな方々には悲報であると同時に、彼女らにトラウマを植え付けられたアンチ機械天使だったデュエリストには吉報だ。

なぜか?答えはシンプル。

「機械天使」デッキを構築すること自体が不可能だからである。



断言しよう。「絶対に不可能」だ。



【なぜ構築が不可能なのか】
なぜ構築が不可能なのか、新規ユーザーや遊戯王はリンクスが初めてという人には分かりにくいだろう。そこで、なぜ構築が不可能なのか、彼女らの過去の悪行も交えながら解説していく。


●厳しい規制
「機械天使」には、非常に厳しい規制がかけられている。なぜこんなにも規制がかけられているかは各カードの項で述べるとして、どのカードにどんな規制がかけられ、それによってどんな影響が出たのか、そのカードがどのような役割を果たしているのかを一緒に見ていこう。


【サイバーエンジェル-荼枳尼-】
全ての元凶。初っぱなから主犯格の登場。
同時【機械天使】と環境を二分していた【アンデットアイズ】が「粉砕」で攻撃力を上げてようやく越えられる程の場違いな攻撃力と貫通効果、さらにはプレイヤーに影響を及ぼし、破壊耐性をすり抜ける除去、毎ターンのサルベージによるアドバンテージの回復など当時の環境で頭ひとつ飛び抜けて強力なカードだった。
当時の環境は、今ほど高速ではなく、大きいモンスター1体ないしは2体で制圧するのがほとんどだった。この化け物はその環境のトップに君臨するために産まれてきたかの如く環境に順応。さらには環境はほぼ【機械天使】一色となるなどし、「遊戯王ダキニリンクス」と揶揄されるまでになる。

後にこの暴れっぷりを問題視され、リミット2に指定されるが、【機械天使】は衰えを見せなかった。幸か不幸かここで衰えなかったがために、【機械天使】は運営・ユーザーの二方向から目の敵にされることになる。

「サイバーエンジェル-荼枳尼-」の主な役割は、デュエルを終わらせるフィニッシャーだった。いわばデッキのエースカードであり、このカードを軸に据えるからこそ【機械天使】が成り立っていたと言っても過言ではなかっただろう。


サイバー・プチ・エンジェル
早い話が、【機械天使】専用の「マンジュゴッド」。レベル6の「サイバーエンジェル」とこのモンスターとで、すぐに「荼枳尼」を儀式召喚できる点で、他の儀式関連のサーチャーとは比べ物にならない需要を誇った。

このカードは【機械天使】の初動の安定に貢献したが、儀式を使うデッキはそれに伴う消費を補うのが普通なので、実際それほど規制は望まれていなかったカードではあった。しかし、このカードもリミット2。牢獄へぶちこまれた。

メタ的な見方をしてしまうと、このカードの規制に関しては、運営の購買促進の意図も少なからずあったと思われる。

どちらもメインパックのURであった「センジュゴッド」と「ソニックバード」の立場が危ぶまれていたのは確かだったので、長い目で見れば、規制は妥当だったと、僕は思う。


この時点で既に「荼枳尼」と「サイバー・プチ・エンジェル」の共存が事実上不可能となり、【機械天使】は大きな打撃を受ける事となった。


【機械天使の儀式】
「荼枳尼」がジャイアンなら、このカードはスネ夫のような立場。儀式モンスターに問答無用に破壊耐性をつけてしまう。
「荼枳尼」の項でも書いた通り、当時は「荼枳尼」1体を突破するのも苦労するような環境。そんな中ようやく破壊する準備が整ったとしても、墓地からこれを除外されて終わり。

【機械天使】の守備を強固にしたこのカードだったが、このカード儀式魔法で、儀式召喚には必須のカードであることから、1度は規制を免れた。が、後に「サイバー・プチ・エンジェル」、「荼枳尼」とともにリミット2、御用となる。


【機械天使】関連だけで3種類のカードがリミットレギュレーションに指定され、その3種類共が、共存が困難な同じリミットをかけられている。つまりは、事実上、上記のどれかの内2枚(もしくは2種類)のみしかデッキに入れられなくなり、事実上【機械天使】は構築不可能となったわけだ。


────とはいえ、上記のような活躍はあくまで「当時の環境だったから」であり、現在のように1枚から2枚も3枚もアドバンテージが生まれてくるような環境では、何ら驚異的な物ではないはず。

にもかかわらず、まだリミットにぶちこまれている。

答えは統べてこれに尽きる。これが「機械天使は現状構築不可能」な理由だ。


だが、僕はあくまでデュエリスト。
「できない」から「できる」を生み出すのに楽しさを感じるのだ。


というわけで、次回のブログは「伊舎那軸の機械天使」にしようと思う。