さて、やっと続きを書くずら
ついに6回目となりました。
が、思うように進んでいません
↑前も言ったことですがね。
そして、ここに書くこともそろそろ底をついてきました。
では本編。
***********************************************************************
運転手の男が言う。
「噂をすれば、ってやつかい」
「あれが本当に人工衛星ならな。
しかし、人工衛星というのは地球の衛星軌道上にあるものだよ。
あれはバルーンか何かじゃないか。
敵方の空軍に対するデコイかもしれない。
いや、それなら一つしか浮いてないってことはないだろう」
私の言葉は途中から自問自答していた。
「いーや、あれは絶対人工衛星だ。
打ち上げに失敗したんじゃないかな」
運転手の男は簡単にそう言い放った。
ここで議論しても仕方がない。
私はしばらく観察することにした。
しかし、すぐにその物体が接近してきていることに気が付いた。
「あんたの言う人工衛星、近づいてきてないか?」
男が答える。
「俺もそれを言おうと思ってたんだ。
まあ、俺の言った場合は『俺いはく人工衛星が…』となるけどね」
「そういう話をしている暇はないと思うけどな。
かなりのスピードだ。それに空気を裂く音も聞こえてきた。
このまま接近してきた場合、どうかわすんだい?」
「こいつと俺ならかわせるさ」
悠長に男が答える。
“こいつ”というのはこの車のことだろう。
男の言う人工衛星はみるみるうちに接近してくる。
そして辺りに響く轟音。
それほど大きなものではないが、それでも縦横15mほどはあるだろう。
まさしくSFといった大きな羽のようなものが、上部から二本生えている。
羽を広げたまま滑降してくるようだ。
このままのコースでは我々の乗る車に直撃するのではないか。
私はこういった危機に対して取り乱すことはない。
今まで何度も生命の危険に遭遇してきたが、それに慣れたわけではない。
初めからそうなのだ。自分の生命に固執していないのだろう。
生命に固執するということについて考えたこともない。
現在の状況を客観的に見れば、
私の生死はこの運転手の腕にかかっていると言えなくもない。
ふと気が向いたので、何気なく言葉をかけてみた。
「私の命はあんたの運転にかかっているんだ。よろしく頼むよ」
すると男は私を一瞥した後、すぐに前方に目を向け、微かに笑った。
「ガラにもねぇこと言うんじゃねーよ。
わかってる。それが俺の仕事だ」
どういうことだ。
「ちょっと待ってくれ。それはどういう意味…」
「さあ、おいでなすった」
私は反射的に前方を見る。
轟音は一段と大きくなり、耳を塞ぎたくなるほどだ。
そしてその黒く大きな角ばったフォルムは、今や目の前に迫っていた。
「人工衛星」は私の予想を大きく超えた速度で接近していたようだ。
真っ直ぐこちらに向かってきていたために、読み違えたのかもしれない。
運転手の男が、急に大きくハンドルを右にきる。
車は大きく道を外れ、今は耕されていない、
雑草が生い茂る畑のなかへ突っ込んでいく。
とっさの判断が間に合わず、私の身体は車の挙動とは逆の方向に振られる。
しかし、頭のなかは結構冷静で、
これはまさしく面舵いっぱいだ、などと考えている。
人間とはそんなものだ。
むしろこういった状況で冷静であることが、
パニックに陥っている証拠かもしれない。
我々の乗った車は、派手にスピンしながらも変針できたようだ。
スピンの速度が緩まり、車が止まる、と思った瞬間、
私は回転しながらもフロントガラス越しに「人工衛星」が着地する瞬間を見た。
小さなクレーターのようなものを形づくるように、
地面が隆起し、躍動していた。
飛散していく部品の運動速度がやけに遅く感じられる。
我々がそのまま進んでいたら、確実に正面衝突していただろう。
一瞬遅れて、衝撃波。
そして、先程までのものとは別種の轟音が響き渡る。
車は衝撃波に後押しされ、もう一回転ゆっくりとスピンしながら、
先程走っていた道に対して直角に交わる道へと
計算されていたように滑り込む。
衝撃波によって推進力を増幅されたこの男の愛車は、
そのまま何事もなかったかのように走り出す。
男は車を少し走らせたが、すぐに止めた。
しばしの沈黙。
聞こえるのは、「人工衛星」墜落の残響音と、車のアイドリング音だけだ。
男は急に大笑いしだした。
はじめ私は驚いたが、その驚きも一瞬で、つられて笑ってしまった。
ひとしきり笑った後、未だ興奮冷めやらぬという口調で男は話し出した。
「どうだい、この計算された運転。
ちょうどそこの角をこっちに曲がらないといけなかったんだ。
それにやっぱりあれは人工衛星だろう。
な、俺に間違いはないんだよ」
私は男ともに車を降り、「人口衛星」墜落現場へと向かった。
車から現場まで100mほどであったため、すぐに到着する。
「人工衛星」のものと思われる部品がかなり広範囲に散らばっている。
私は呟く。
「これが人工衛星かどうか、何とも言えないな」
原型はもはやわからないほどに、「人工衛星」の損傷はひどい。
しかし、農地の損傷の方が遥かにひどいものだった。
直径20~30m程のクレーターができてしまっている。
おそらくこの農地の持ち主であろう、近くの家から、
中年の夫婦が出てくるところだった。
私は車へと向かう帰り道に男に質問する。
「確かに、あんたはすごいよ。
しかし、なぜ初見であれが人工衛星だとわかった?
それに、あの針路変更から道に乗るまでの過程。
あれは本当に計算していたとしか思えない」
それを聞いて男は片方の口元を上げた。
意地の悪い笑い方だ。
to be continued…
ついに6回目となりました。
が、思うように進んでいません
↑前も言ったことですがね。
そして、ここに書くこともそろそろ底をついてきました。
では本編。
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運転手の男が言う。
「噂をすれば、ってやつかい」
「あれが本当に人工衛星ならな。
しかし、人工衛星というのは地球の衛星軌道上にあるものだよ。
あれはバルーンか何かじゃないか。
敵方の空軍に対するデコイかもしれない。
いや、それなら一つしか浮いてないってことはないだろう」
私の言葉は途中から自問自答していた。
「いーや、あれは絶対人工衛星だ。
打ち上げに失敗したんじゃないかな」
運転手の男は簡単にそう言い放った。
ここで議論しても仕方がない。
私はしばらく観察することにした。
しかし、すぐにその物体が接近してきていることに気が付いた。
「あんたの言う人工衛星、近づいてきてないか?」
男が答える。
「俺もそれを言おうと思ってたんだ。
まあ、俺の言った場合は『俺いはく人工衛星が…』となるけどね」
「そういう話をしている暇はないと思うけどな。
かなりのスピードだ。それに空気を裂く音も聞こえてきた。
このまま接近してきた場合、どうかわすんだい?」
「こいつと俺ならかわせるさ」
悠長に男が答える。
“こいつ”というのはこの車のことだろう。
男の言う人工衛星はみるみるうちに接近してくる。
そして辺りに響く轟音。
それほど大きなものではないが、それでも縦横15mほどはあるだろう。
まさしくSFといった大きな羽のようなものが、上部から二本生えている。
羽を広げたまま滑降してくるようだ。
このままのコースでは我々の乗る車に直撃するのではないか。
私はこういった危機に対して取り乱すことはない。
今まで何度も生命の危険に遭遇してきたが、それに慣れたわけではない。
初めからそうなのだ。自分の生命に固執していないのだろう。
生命に固執するということについて考えたこともない。
現在の状況を客観的に見れば、
私の生死はこの運転手の腕にかかっていると言えなくもない。
ふと気が向いたので、何気なく言葉をかけてみた。
「私の命はあんたの運転にかかっているんだ。よろしく頼むよ」
すると男は私を一瞥した後、すぐに前方に目を向け、微かに笑った。
「ガラにもねぇこと言うんじゃねーよ。
わかってる。それが俺の仕事だ」
どういうことだ。
「ちょっと待ってくれ。それはどういう意味…」
「さあ、おいでなすった」
私は反射的に前方を見る。
轟音は一段と大きくなり、耳を塞ぎたくなるほどだ。
そしてその黒く大きな角ばったフォルムは、今や目の前に迫っていた。
「人工衛星」は私の予想を大きく超えた速度で接近していたようだ。
真っ直ぐこちらに向かってきていたために、読み違えたのかもしれない。
運転手の男が、急に大きくハンドルを右にきる。
車は大きく道を外れ、今は耕されていない、
雑草が生い茂る畑のなかへ突っ込んでいく。
とっさの判断が間に合わず、私の身体は車の挙動とは逆の方向に振られる。
しかし、頭のなかは結構冷静で、
これはまさしく面舵いっぱいだ、などと考えている。
人間とはそんなものだ。
むしろこういった状況で冷静であることが、
パニックに陥っている証拠かもしれない。
我々の乗った車は、派手にスピンしながらも変針できたようだ。
スピンの速度が緩まり、車が止まる、と思った瞬間、
私は回転しながらもフロントガラス越しに「人工衛星」が着地する瞬間を見た。
小さなクレーターのようなものを形づくるように、
地面が隆起し、躍動していた。
飛散していく部品の運動速度がやけに遅く感じられる。
我々がそのまま進んでいたら、確実に正面衝突していただろう。
一瞬遅れて、衝撃波。
そして、先程までのものとは別種の轟音が響き渡る。
車は衝撃波に後押しされ、もう一回転ゆっくりとスピンしながら、
先程走っていた道に対して直角に交わる道へと
計算されていたように滑り込む。
衝撃波によって推進力を増幅されたこの男の愛車は、
そのまま何事もなかったかのように走り出す。
男は車を少し走らせたが、すぐに止めた。
しばしの沈黙。
聞こえるのは、「人工衛星」墜落の残響音と、車のアイドリング音だけだ。
男は急に大笑いしだした。
はじめ私は驚いたが、その驚きも一瞬で、つられて笑ってしまった。
ひとしきり笑った後、未だ興奮冷めやらぬという口調で男は話し出した。
「どうだい、この計算された運転。
ちょうどそこの角をこっちに曲がらないといけなかったんだ。
それにやっぱりあれは人工衛星だろう。
な、俺に間違いはないんだよ」
私は男ともに車を降り、「人口衛星」墜落現場へと向かった。
車から現場まで100mほどであったため、すぐに到着する。
「人工衛星」のものと思われる部品がかなり広範囲に散らばっている。
私は呟く。
「これが人工衛星かどうか、何とも言えないな」
原型はもはやわからないほどに、「人工衛星」の損傷はひどい。
しかし、農地の損傷の方が遥かにひどいものだった。
直径20~30m程のクレーターができてしまっている。
おそらくこの農地の持ち主であろう、近くの家から、
中年の夫婦が出てくるところだった。
私は車へと向かう帰り道に男に質問する。
「確かに、あんたはすごいよ。
しかし、なぜ初見であれが人工衛星だとわかった?
それに、あの針路変更から道に乗るまでの過程。
あれは本当に計算していたとしか思えない」
それを聞いて男は片方の口元を上げた。
意地の悪い笑い方だ。
to be continued…