終わりません
なんか話が勝手に膨らんで…
っていうのは前にも言ったんですが、
本当にもうどうにでもなれっていうほどに
話が膨らんでしまっているので、
最近はサボり気味な更新です。
さてさて、今回から伏線(と言えるかどうか微妙)
を顕在化させてみようかな、
とか新たな伏線を引いてみようかな、
とか考えていますが、気が赴くまま勝手に書いていくので
どうなるかはわかりません。
ではまいりましょう
***********************************************************************
「おい、いい加減に起きたらどうだ。
首相官邸に行くんだろう?」
彩都の声で目が覚めた。
どうやら昨日の酒場での情報収集が一段落した後、
近くに宿を取ったのだろう。
起きた瞬間、自分がどこに居るのかまったくわからなかった。
部屋のインテリアにもまったく覚えがない。
昨日は珍しく飲みすぎたようだ。
それに慣れない時間旅行で疲れていたのだろう。
おかげで夢も見ずにぐっすり眠ることができた。
私は夢の始まりで自分が眠りに入っていくことを自覚する
ほどに夢を見る質なので、まったく夢を見ない眠りからの
目覚めというのはなかなか新鮮だった。
「ああ、そうだな。もう出るかい?」
私はできるだけ寝起きの声には聞こえないように発声した。
彩都に起こされたのだから、そうすることはまるで無意味である。
覚醒した印象を与えようとしたのだが、
それこそ寝惚けたことをしてしまった。
「ああ、出ようぜ。昨日聞いた情報によると、
Kさんは毎朝官邸の前で市民の声を聞く機会を設けているそうだ。
今から出れば、まだ間に合う」
なんだ、私より私の仕事に向いているのではないか。
というより、やはり私の目的を知っているかのような言動だ。
そういえば、昨日の記憶があまりない。
何かまずいことをしゃべってしまっただろうか。
「昨日、私は何か言っていたか?」
「いや、宿を取るかどうするかって言っているうちに
酒場のテーブルで寝ちまったんじゃないか。
しっかりしてくれよ、お客さん」
「彩都、私は君の客じゃないよ」
未だあまり頭が働いていないなか、意味不明なことを言いながら
私は出発の準備を始めた。
「いやだな、お客さん。
昨日一蓮托生だって言ってくれたじゃありませんか」
彩都が卑しい声を出す。
「それは君の想像のなかでだろう」
私は口の片方を吊り上げながら言った。
準備は完了していた。
彩都は上機嫌そうに勢いよく立ち上がって言った。
「だな。さあ、行こうか」
その言葉が合図となって、二人で部屋を後にした。
時刻は午前8時15分だ。
広島への原爆投下はどうなったのだろうか。
首相官邸までは他愛もない話をしながらの道中だったので、
何分かかったかは記憶にないが、さほど大した距離ではなかっただろう。
仕事柄も手伝って人見知りの激しい私も、
どうやらこの男には心を許してきたようだ。
私は、私が他人と世間話ができる人格だということを
久しぶりに思い出した。
彩都は首相官邸の塀に車を寄せて停めた。
数十メートル先に門がある。
そこに人だかりができていた。
どうやらK氏が出てきているようである。
人だかりの近くに行ってみると、さすがに騒々しい。
背伸びをして前方を眺めてみると、
門柱の間に立っているK氏が確認できた。
ガードが二人付いている。
人々は次々にK氏に質問をしている。
国策のことから戦況についてなど、様々だ。
それら一つひとつに丁寧に対応していたK氏が、
ふと我々に目を留めた。
「君たち、君たちはもしかして私と同郷なのではないかい?」
K氏はいきなり質問してきた。
それにしても初対面の人に対して、なんという質問だ。
「ええ、うちはすごく近所ですよ」
彩都が陽気に答えた。
人だかりが、K氏と我々を結ぶ線を境にして左右に割れたようになる。
「だと思った。何となく雰囲気でそうかな、とね。
君たちも何か聞きたいことがあるのかね?」
K氏はまた質問してくる。
何か見透かすような目だ。
「この戦争はいつまで続きますか?」
今度は私が発言した。
彼は何か考えるように少し俯き気味になった後、
私の方を向いて言った。
「それは何とも言えないが、ただ、終戦は近いとだけ言っておこう。
この戦争が一刻も早く終わるよう、
私は全力を尽くすつもりだ」
そう言う彼の厳しい表情からは、決意が窺える。
「そうしてください。手遅れにならないうちに」
私の後に、彩都が言を繋いだ。
「そう、その結果、日本が負けたことになろうが関係ない。
こんな馬鹿馬鹿しい殺し合いは、さっさと止めるべきだ」
周囲の目が一気に我々に集まる。
軽蔑するような視線を送ってくる者、怒りの表情で睨みつけてくる者、
脅えた表情で隠れるように我々を見る者・・・。
K氏は咳払いを一つして人々の注意を自分に向け、
過激な発言だな、と言った。
「今の言葉を憲兵が聞いていたら大変なことになっていたよ。
君は運が良かったな。
しかし、私は君と同意見だ。それに隣の君ともね。
本当に手遅れになる前に、何とか手を打たねば。
勇気があるな。私と同郷の者よ、そうでなくては」
K氏は気分が良いのか笑みを浮かべていた。
我々は首相官邸を後にし、一度宿に戻った。
「K氏と同郷だなんて、本当なのか?」
私は彩都に聞いてみた。
「いや、適当に話を合わせてみたんだ。
人間はお互いに何か共通点がある方が親しくなれるだろう?」
彩都はベッドに仰向けになり、天井を見ながらそう言った。
「なるほど」
私は何気なく相槌を打ち、この男はいつも飄々としている、
などと考えていた。
「まあ、人間は元を辿れば母なる海から生まれたんだから、
同郷って言えば同郷だろう?
俺の言ったことの半分は本当だ」
彩都は満足そうにそう言って布団を被った。
我々はそのまま宿で昼過ぎまで何をするでもなく無益に過ごした。
実際、私にはこれといってすることはないのである。
K氏が関わることによって変化する歴史を
レポートする役目なのだから、あまり動かずとも良いわけだ。
遅い昼食を取ろうと近くのレストランに行き、
そこのウェイトレスに何気なく、
戦争はいつまで続くのでしょうね、と尋ねてみた。
そして、驚くべきというか、案の定の答えが返ってきたのである。
「何だい、お客さん知らないの?
広島に何やら新型の爆弾が落とされたって話だよ。
日本ももうおしまいかもね」
これでまず一つ目だ。
to be continued・・・
なんか話が勝手に膨らんで…
っていうのは前にも言ったんですが、
本当にもうどうにでもなれっていうほどに
話が膨らんでしまっているので、
最近はサボり気味な更新です。
さてさて、今回から伏線(と言えるかどうか微妙)
を顕在化させてみようかな、
とか新たな伏線を引いてみようかな、
とか考えていますが、気が赴くまま勝手に書いていくので
どうなるかはわかりません。
ではまいりましょう
***********************************************************************
「おい、いい加減に起きたらどうだ。
首相官邸に行くんだろう?」
彩都の声で目が覚めた。
どうやら昨日の酒場での情報収集が一段落した後、
近くに宿を取ったのだろう。
起きた瞬間、自分がどこに居るのかまったくわからなかった。
部屋のインテリアにもまったく覚えがない。
昨日は珍しく飲みすぎたようだ。
それに慣れない時間旅行で疲れていたのだろう。
おかげで夢も見ずにぐっすり眠ることができた。
私は夢の始まりで自分が眠りに入っていくことを自覚する
ほどに夢を見る質なので、まったく夢を見ない眠りからの
目覚めというのはなかなか新鮮だった。
「ああ、そうだな。もう出るかい?」
私はできるだけ寝起きの声には聞こえないように発声した。
彩都に起こされたのだから、そうすることはまるで無意味である。
覚醒した印象を与えようとしたのだが、
それこそ寝惚けたことをしてしまった。
「ああ、出ようぜ。昨日聞いた情報によると、
Kさんは毎朝官邸の前で市民の声を聞く機会を設けているそうだ。
今から出れば、まだ間に合う」
なんだ、私より私の仕事に向いているのではないか。
というより、やはり私の目的を知っているかのような言動だ。
そういえば、昨日の記憶があまりない。
何かまずいことをしゃべってしまっただろうか。
「昨日、私は何か言っていたか?」
「いや、宿を取るかどうするかって言っているうちに
酒場のテーブルで寝ちまったんじゃないか。
しっかりしてくれよ、お客さん」
「彩都、私は君の客じゃないよ」
未だあまり頭が働いていないなか、意味不明なことを言いながら
私は出発の準備を始めた。
「いやだな、お客さん。
昨日一蓮托生だって言ってくれたじゃありませんか」
彩都が卑しい声を出す。
「それは君の想像のなかでだろう」
私は口の片方を吊り上げながら言った。
準備は完了していた。
彩都は上機嫌そうに勢いよく立ち上がって言った。
「だな。さあ、行こうか」
その言葉が合図となって、二人で部屋を後にした。
時刻は午前8時15分だ。
広島への原爆投下はどうなったのだろうか。
首相官邸までは他愛もない話をしながらの道中だったので、
何分かかったかは記憶にないが、さほど大した距離ではなかっただろう。
仕事柄も手伝って人見知りの激しい私も、
どうやらこの男には心を許してきたようだ。
私は、私が他人と世間話ができる人格だということを
久しぶりに思い出した。
彩都は首相官邸の塀に車を寄せて停めた。
数十メートル先に門がある。
そこに人だかりができていた。
どうやらK氏が出てきているようである。
人だかりの近くに行ってみると、さすがに騒々しい。
背伸びをして前方を眺めてみると、
門柱の間に立っているK氏が確認できた。
ガードが二人付いている。
人々は次々にK氏に質問をしている。
国策のことから戦況についてなど、様々だ。
それら一つひとつに丁寧に対応していたK氏が、
ふと我々に目を留めた。
「君たち、君たちはもしかして私と同郷なのではないかい?」
K氏はいきなり質問してきた。
それにしても初対面の人に対して、なんという質問だ。
「ええ、うちはすごく近所ですよ」
彩都が陽気に答えた。
人だかりが、K氏と我々を結ぶ線を境にして左右に割れたようになる。
「だと思った。何となく雰囲気でそうかな、とね。
君たちも何か聞きたいことがあるのかね?」
K氏はまた質問してくる。
何か見透かすような目だ。
「この戦争はいつまで続きますか?」
今度は私が発言した。
彼は何か考えるように少し俯き気味になった後、
私の方を向いて言った。
「それは何とも言えないが、ただ、終戦は近いとだけ言っておこう。
この戦争が一刻も早く終わるよう、
私は全力を尽くすつもりだ」
そう言う彼の厳しい表情からは、決意が窺える。
「そうしてください。手遅れにならないうちに」
私の後に、彩都が言を繋いだ。
「そう、その結果、日本が負けたことになろうが関係ない。
こんな馬鹿馬鹿しい殺し合いは、さっさと止めるべきだ」
周囲の目が一気に我々に集まる。
軽蔑するような視線を送ってくる者、怒りの表情で睨みつけてくる者、
脅えた表情で隠れるように我々を見る者・・・。
K氏は咳払いを一つして人々の注意を自分に向け、
過激な発言だな、と言った。
「今の言葉を憲兵が聞いていたら大変なことになっていたよ。
君は運が良かったな。
しかし、私は君と同意見だ。それに隣の君ともね。
本当に手遅れになる前に、何とか手を打たねば。
勇気があるな。私と同郷の者よ、そうでなくては」
K氏は気分が良いのか笑みを浮かべていた。
我々は首相官邸を後にし、一度宿に戻った。
「K氏と同郷だなんて、本当なのか?」
私は彩都に聞いてみた。
「いや、適当に話を合わせてみたんだ。
人間はお互いに何か共通点がある方が親しくなれるだろう?」
彩都はベッドに仰向けになり、天井を見ながらそう言った。
「なるほど」
私は何気なく相槌を打ち、この男はいつも飄々としている、
などと考えていた。
「まあ、人間は元を辿れば母なる海から生まれたんだから、
同郷って言えば同郷だろう?
俺の言ったことの半分は本当だ」
彩都は満足そうにそう言って布団を被った。
我々はそのまま宿で昼過ぎまで何をするでもなく無益に過ごした。
実際、私にはこれといってすることはないのである。
K氏が関わることによって変化する歴史を
レポートする役目なのだから、あまり動かずとも良いわけだ。
遅い昼食を取ろうと近くのレストランに行き、
そこのウェイトレスに何気なく、
戦争はいつまで続くのでしょうね、と尋ねてみた。
そして、驚くべきというか、案の定の答えが返ってきたのである。
「何だい、お客さん知らないの?
広島に何やら新型の爆弾が落とされたって話だよ。
日本ももうおしまいかもね」
これでまず一つ目だ。
to be continued・・・