頸は全身に影響がある。

頸のポジション1つで全身の姿勢、重心、筋肉の運動参加率、筋力等が変わる。


分かりやすい例で言えば、

カールできつくなると勝手に顎を引く。そうすると、なんとかカールできる。
スクワットでつぶれそうになると勝手に顎を上げる。つぶれずに済む。




頸を大きく動かすと、中枢神経の通りを遮断する事に近い。

胸腰筋膜の広背筋腱膜(腰背部)の菱形部や、頸椎7番を中心とした菱形部に力が集まると、多裂筋、半棘筋、最長筋を始めとした固有背筋が緊張し、

中枢神経が正しく繋がると言われている。


頸を動かすと、僧坊筋が緊張したり、猫背になったりし、腰背部の力が抜け、中枢神経が正しく繋がらない。

代表的な悪者?は僧坊筋。すぐでしゃばる。

僧坊筋が緊張すると(収縮させるのとは似て非なる)、腰背部の菱形の力が抜ける。
だからか肩凝りと腰痛は1セットの事がある。

つまり肩(肩凝りの肩ね)が無意識下で緊張すると中枢神経が繋がり難い。

したがって、末梢神経も働き辛く、目的とする筋肉の運動参加率が低下する。

筋肉より効率の良い腱の参加率が増え、様々な筋肉も協動し、楽に重い物が扱える。





人間の身体には危機回避能力がある。

ストレスをもろに受けない能力である。

トレーニングでのストレス回避とは、いかに筋肉を使わない様にするか、と言う事。

身体的には、血流も多く、エネルギー消費も大きい「筋肉」を使うと言う事は、最もストレスが大きいと言う事である。



筋肉を使わないとは、腱を使う事や、様々な筋肉を協動させる事である。いわゆる効かない状態である。

それらは身体ストレスを軽減させている事になる。



逆にバーベル等に対して、力発揮が高まる事を意味する。効かないで力持ちになる現象で、よくあるパターンである。


腱は筋肉より省エネで力が強い。

それは身体にとって都合が良い。ストレスをあまり受けず、楽に出力が向上するからだ。



筋肉を協動させるとは、様々な筋肉が動員される事であるので、主動筋1ヶ所をみれば負担が減りストレス軽減、出力減少するが、
全体での出力自体は向上する。







一方、反射とは意識や意思を介さず、勝手に行う事である。

頸反射とは、身体がストレスを回避する為に、筋肉をなるべく使わない様にする為の、勝手に行う効率的なシステムである。

スポーツ選手やパワーリフターは、いかに重い物を効率的に持ち上げるか、引くかという事をする。

なるべく筋肉を協同させて、1ヶ所の筋肉ばかり使わない方が良い。

試合中に効いてもバテてもダメだからである。

したがって頸反射は大いに味方になる。




ボディビルダーとは真逆である。

ボディビルは、いかに1ヶ所の筋肉を伸展収縮させ使うか。
いかに筋腹で負荷を受けるか。

である。




そう考えると、世間で言う所の頸反射はスポーツ選手には向いていても、ボディビルダーにはマイナスに働く事が解る。


ボディビルダーは、中枢神経を正しく働かせ、最も筋肉が伸展収縮する頸のポジションを研究するべきである。


何か武術と通ずる。


恐怖を感じると反射で息が上がり、全身に力が入り、震える。

武術は、その自然な反射をいかにコントロールし、平常心でいられるか、脱力できるか、居着かないか。


反射をコントロールする所が似ている。



スポーツ選手は、意識してわざと頸反射と同じ形をしても効率的では無い。

それは頸反射とは呼べず、「頸意識」である。

身体が勝手に行うシステムを、わざわざ真似る必要は無い。




パーソナルトレーニングとしんそう療方の大長道場。