閉店後の閉め作業中電話が鳴り
取ると社長からであった。
「大長君、今いいかい?」
「はい、大丈夫です。」
「大事な話しだから。」
「??? はい。」
「〇月からゴールドジムへ移動してもらう。」
「あっ!本当ですか!!」
「支配人としてだよ。大長君が一般スタッフとして働いてはまずいだろ?」
全くの予想外な展開であった。ゴールドジムへは週一回入っていたが、まだ数回であった。
ゴールドジムでの仕事内容は全く把握していなかった。不安だらけだったし、僕自身は一スタッフから開始したいと思っていた。
「あっ、いや、あの、し、支配人でですか??」
「大山総裁は百人組手を指名する時、内容を伝えず、キミ~出来るかね?とだけ言い、弟子は押忍しか言えなかったのは知っているな?」
「はい。」
「それと同じだよ。
大長君!キミ、出来るかね?」
「押忍!」
社長も僕も極真出身である。そんな例えを出されたら押忍と返事するしか無かった。
「それから、今の支配人は〇月で退職するんだ。」
「えっ!?そうなんですか?」
「だから大長君しかいないんだ。解ってくれ。フォローするし、最初は一回戦負けでもいいじゃないか。だんだん勝てる様になっていけば。」
「ありがとうございます!そう言って頂けるのなら、お引き受け致します!」
「じゃあ宜しく!」
こうして、ゴールドジムの事が全く解らないまま、
ゴールドジムスタッフとして支配人からスタートする事となった。
しかし社長から「最初は一回戦負けでもいい。」と言ってもらえたのは、本当に嬉しかった。
ここから、大変な時期に突入していった。