4
あなたの姿をランチ会で見た時はびっくりして、とっさに目をそらした。
体の左側にあなたの視線を受けながら食べるランチは、味がしなくて。
何を食べてるのかさっぱり分からなくなってしまった。
意識だけはいつもの何倍も向かっているのに、見る事さえ躊躇われる。
周りに人がいるから。
二人の関係を悟られてはいけないから。
……。
そうなのだ。
あなたと関係を続ける以上、こんな場面がこれからも出てくる。
その度に、こんな思いをしなければならないのだ。
苦しすぎる。
ただ、あなたと一緒にいたいだけなのに。
世間的に認められない関係だから。
視線すら合わせられない。
あなたの目の前の女性に嫉妬する。
馬鹿みたい。
あの人とあなたとの間に、知り合いという関係以上のものは無いと分かっているのに。
花束をくれた、目の前の人。
ニコニコとしながら、嬉しそうにご飯を食べている。
この人とだったら、こんな苦しい思いをしなくて済むのかしら。
手を繋いで街を歩いて。
人の目を気にすることなく、いつでも視線を絡めて。
この人とだったら、幸せな家庭を築く事が出来るのかもしれない。
きっと、良い夫、良い父親になるに違いない。
私だって、結婚して、子供を産んで、家族を作りたい。
あなたとでは、望む事の出来ない夢。
この人とだったら、叶える事が出来る夢。
だからこそ。
私は迷いながら、薔薇の花束を受け取り、あなたとの待ち合わせ場所に抱えていったのだ。
終わりが近い事を、伝える為に。
迷いながらも、他の人と手を繋ぐために。
続く