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何故花束を持ってきてしまったのだろう。
やっぱり途中で捨ててしまえば良かった。
「近くに美味しいイタリアンがあるから、今度ランチしようよ」
オフ会でいつも顔を合わせる男の人から誘われた。
軽い感じで声を掛けられたから、こちらも軽く返事をして二人で出かけた。
話しやすくて食事が楽しい。
異性と食事をしている緊張感はなくて、女友達と一緒にいるような気軽さ。
あなたといる時のようなときめきはもちろん無くて。
ただ、女友達より本音が言える分、もっと気持ちは近かったかもしれない。
そんな感じで何度か食事を一緒にした、ある日。
彼が、赤い薔薇の花束を持ってやってきた。
誰かへのプレゼントだと思って、軽口をたたいた。
『私に愛の告白でもしちゃう?』
そう言って笑い出した私に、彼は真っ赤な顔をして口を開いた。
『そう、惚れちゃったんだ』
またまたぁ、と笑い出そうとして、あまりにも真っ直ぐな彼の目を見て思考が止まる。
本気……だ。
目の前に差し出された花束。
赤い薔薇を見つめながら、これからあなたに会うのに、この薔薇どうしよう。
混乱する頭で、そんな事ばかりを考えていた。
捨ててしまおうかと思ったけれど、綺麗に咲いている薔薇の花をゴミ箱に放り込むのが忍びなくて。
結局捨てられなかった。
何故、持って行ってしまったのだろう。
彼に花束を見せて、どうしようとしていたのだろう、私。
続く