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線路際の道を歩く。


小学校に向かう為に、6年間毎日通った。


ここもやはり変わっていた。


友人の家がアパートになっていたり、見知らぬ形の家になっていたり。


中学時代に憧れた先輩の家は、どこにあったんだっけ?


初めてアルバイトをしたクリーニング屋がそのままで、逆にビックリした。


お年を召していたものの、元気にアイロンをかけている。


良かった。


三つ目の角を曲がると、昔住んでいたアパートが見えた。



何か足りない。


何だろう。


あ……薔薇が咲いてない。



この時期はいつも秋の薔薇が咲き乱れていた。


大家さんがガーデング好きで、アパートの柵に絡ませた蔓薔薇が、


春と秋には見事な花を咲かせていた。


風が吹くとほんのりと香る甘い香り。


季節の花がいつも咲いていて。


植木鉢もたくさん並んで、緑の葉を軽やかに風になびかせていた。


今は花どころか、木すら植わっていない。


錆びた柵がむき出しになっていて、寒々しく見える。


裏口から共通の庭を除くと、雨戸の閉じた部屋がいくつか見えた。


大家さんの部屋も、雨戸が閉じていた。


大家さん、どうしてるんだろう。


元気ならいいんだけどな。


不法侵入になってしまうので入らなかったけれど、裏口から見えた庭には、


小学生の時植えた枇杷の木が、大きな葉を繁らせて風に揺れていた。



お前も大きくなったな。



続く