21
あ、やべ宿題忘れた。
一度出た玄関を通って、教室へ戻る。
部活が始まってる時間だから、校舎には殆んど人がいない。
遠くから野球部の掛け声や、ブラスバンドの練習の音が聞こえる。
教室のドアを開けようとして、中から聞こえてくる声に足を止めた。
「何かね、どうしたらいいかわかんなくて」
マイ?
ドアの窓から、そっと教室の中を覗く。
マイとノリが机を挟んで話し合っている。
「付き合ってるはずなのに、殆んど話さないし。
もっとマイは傍にいたいし、もっと仲良くなりたいのに」
「照れてるだけだって。アイツ女と付き合うの初めてだって言ってたし」
「だけど、海に行ってもサーフィンばっかりしててマイと遊んでくれないし」
「アイツ海バカだからな」
「もっともっと仲良くなりたい!」
「大丈夫だって。俺が何とかしてやるからさ」
「……本当に?」
「俺嘘ついた事ないだろ? トモヤとだってちゃんと付き合えただろ?」
「そうだよね。うん、信じる!」
「任せときなさい!」
……。
何かおかしいと思ったんだよな。
ノリが急にオレを誘ったりとか。
あいつの企みだったのか。
腹が立ってその場を離れようとした時、後ろから肩を叩かれた。
続く