5
タバコの匂いで目を覚ます。
窓際のソファに腰掛けて、あなたがタバコを吸っている。
「起きた?」
声が出せずに、あなたの目を見つめたまま頷く。
白い煙が部屋に漂っている。
ベッドの隣は、まだ温もりが残っている。
体にシーツを巻きつけて立ち上がる。
離れていたくない。
二人きりの時間は短いから、ずっとあなたに触れていたい。
指先だけでもいいから。
ソファの足元に座って、顔をあなたの膝に預ける。
あなたの手が私の頭を撫でる。
小さな子供に戻ったようにホッとして、唇が自然と微笑みの形を作る。
あなたの膝越しに見る窓の外には、三分咲きの桜。
「もうすぐ満開だね」
「ん?」
「桜」
「ああ、そうだね」
「満開になったら、観に行きたいね」
「うん」
……。
「来週、行こうか」
「! ……うん!」
嬉しくて、あなたの膝によじ登って頬にキスをした。
続く