「それで逃げてきたの?」


アイスを齧りながら、話をじっと聞いていたナオが口を挟んだ。


「逃げ……ま、そうか。逃げてきた」


「いーくーじーなーしー」


「! いや、だってさ……」


「可哀相じゃない。勇気振り絞ってキスしたのかもよ」


「オレは可哀相じゃないのかよ」


「男なんだからいいじゃない」


「男にだって理想とかはあるんだよ」


「どんな?」


「どんなって……幸せなキスというか」


「は?」


「だからさ、んー……と、説明しづらいな」


「ハッキリしないなぁ」


ナオの口に、アイスの赤い色素が付いて、


子供がいたずらで化粧をしたみたいな顔になってる。


中学に上がってもあんまり変わらないナオの顔。



ナオは幼なじみだ。


記憶に無い頃の写真に、一緒に写ってる。


父さんと母さんが生きていた頃の写真にも。


ズケズケと遠慮なくモノを言うから、オレも本音で話せる。


そんな奴は他にいない。


兄弟みたいなもんだ。


中学女子の制服を着ているのを見た時、違和感があったくらいだ。


こいつには男子の制服の方が似合う。


絶対。



続く