「全然気付いてくれないんだもの」


シーツに包まったまま、彼女が話し始める。


二人の間に流れているのは、歯が痛くなりそうなほど甘いR&B。


黒目が大きくなってる。


予想通り、髪の毛はしっとりとして冷たくて。


肌は柔らかくて、初めてではないように俺の手に馴染んだ。


勢いだったけど、こんなにスムーズに二人の時間を持てるなんて思わなかった。


「だからカコちゃんにお願いして、紹介してもらったの」


「その前から、俺は見てたんだけどな」


「私はもっと前から見てたんだけどな」


「そうだったんだ」


「だからね、やった! って思った。願えば叶うものなのね」


そう言って悪戯っ子のように、笑う。


吐息を漏らしていた時の顔とのギャップに、またやられる。


どうしてずっと彼女に気付かなかったんだろう?


……。


「どうして俺なの?」


「……さぁ」


「さぁ、って」


「んー、一緒にいたら、きっと楽しそう、って思ったの」


「……それだけ?」


「それだけ」


「えー?!」


「だって、『良いなぁ』と思うのに理由なんてないもの」


そりゃそうだけど。


「……で、楽しかった?」


「とっても! 私の勘に間違いなかった」


彼女が俺の頬に音を立てて口付ける。


合格のスタンプ。


彼女にも付けてあげなきゃ。




続く