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三線を爪弾く。


テーブルの上に、たくさんの料理の皿。


泡盛の甕も。


三線の音に合わせて、トモヤが踊る……暴れる。


それを見ながら、手拍子をする父さん母さん、リョウイチさん、レイナさん、リナさん。


外は暴風雨。


今年初の台風上陸。


外へ出られない分、楽しむタイフーンパーティ。


子供の頃からの、家の習慣だ。



リナさんは、さすがに元気が無い。


昨日の今日で当たり前だけど。


まだちょっと頭痛も残ってるみたいだ。


それでも、場の雰囲気を壊さないように、明るく振舞っている。



そんなリナさんを、腫れ物を扱うような目で見てる母さんと父さん。


昨日の出来事で、リナさんを危険人物として見始めてしまったみたいだ。


リナさんが悪い訳じゃないのに。


俺が傷つけられるのを目の前で見て、ショックだったんだろう。


南国で生まれ育って、犯罪に巻き込まれた事がないんだから、無理も無い。



そんな微妙な空気の中、トモヤがアホのように明るいのは救いだ。



雨が雨戸に叩きつけられる音と、強い風が吹き抜ける音が、家の中にまで聞こえてくる。


どんどん音が大きくなり、台風がいよいよ近づいてくるのを知らせる。



続く