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父さんと母さんが店に入ってきて座敷に上がってきた。
「あんた、大丈夫なの?!」
「え? うん」
「ちょっと! 腕切れてるじゃない!」
「えっ?!」
左の二の腕が切れて、血が流れていた。
ホントだ……。
母さんが救急箱を持ってきて、消毒液を吹きかける。
!
「痛ぇ!!」
「当たり前でしょ! 傷だらけじゃないの!」
消毒液をどんどん吹きかける母さん。
うわあぁ、滲みるー!
「我慢しなさい! 化膿するよりマシでしょ!」
リナさんを抱えたままのにガーゼと包帯が巻かれる。
痛かったぁ。
こんなに切り傷擦り傷だらけになってたなんて。
事が大きすぎて、全然痛みを感じてなかった。
「怖かったわよ、あんたが死んじゃうんじゃないかって。怖かったわよ」
何度もそう言いながら消毒液をかける母さんは、泣いていた。
「リナさん、どんな人なの?」
「え?」
「あんたが襲われるなんて、おかしいでしょ?!」
そうだけど……。
「あの男がパトカーに乗る時に叫んでたぞ。『あすみは俺の女だ』って」
それまで黙っていた父さんが口を挟む。
リナさん、あすみっていう名前なのか。
父さんと母さんが、黙って俺とリナさんを見ている。
続く