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閉店時間になって、看板をしまう為に外に出る。


湿った風がTシャツをなびかせ髪をグシャグシャにしていく。


台風が近づいてくるの早いな。


明日の昼間に上陸したらどうしようか。


教室でリハしようかと思ってたけど。



あのケンカの後、結局謝れないままで。


気まずいまではいかないけれど、前のようにしっくりもしてない毎日を過ごしていた。


ちゃんと謝るきっかけが欲しかった。


だから、教室に行きたかったんだけど……。


仕方ない、明日の空の様子を見てから決めよう。



それにしても、くっそ、この看板重いな。


ちょっとの風には飛ばされないように重りが付いてるからなぁ。


滅多に動かさないし……くっ!


看板に寄りかかるようにして押しながら、引き戸へと移動していく。



その時。


急に辺りが明るくなって、二つの光が俺に向かって近づいてきた。



反射的に左へ飛んで、倒れこんだ。


何かが看板にぶつかる物凄い音がした。


振り返って見ると、看板に車がめり込んでいる。


ぞっとした。


飛ぶのがほんのちょっと遅かったら、車と看板の間に挟まれてぺしゃんこになってたはずだ。


自分の反射神経に感謝しながら立ち上がると同時に、運転席から誰かが降りてきた。


誰だ?


……あいつだ!


暗くて表情が良く見えない。


けど、殺気のようなものが伝わってくる。


全身に鳥肌が立つ。



何でだ?!


何で俺が、あいつに襲われるんだ?



続く