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開けておいた窓の隙間から、朝の涼しい風が入り込む。
朝か……。
ここ、どこだ……?
ハッとして隣を見る。
リナさんが寝てる。
……そうだった、ずっと一緒にいたんだ。
思わずニヤついた口を押さえながら、リナさんの寝顔を見る。
薄暗い部屋の中で、揺れるカーテンから漏れる光で輪郭を浮き上がらせる横顔。
静かに寝息を立てる穏やかな寝顔は、子供みたいだ。
肩が出ている。
寒くないかな。
かけ布団を寄せて、リナさんの肩を覆う。
ふと思い出して、リナさんの左胸を見る。
魚の形の、小さな赤い痣。
『人魚姫みたいじゃん!』
そう言ったトモヤ。
そうかもな。
何も覚えてなくて、話せなくて。
裸で波に打ち上げられて。
ギクリとするほど綺麗で。
周りの男の目を集めずにはいられないほど魅力的で。
この痣は、人魚だった時の名残なのかもな。
……人魚姫は、海の泡になってしまうのでした。
海になんて帰さない。
海の泡になんてさせない。
ここで、俺が、幸せにするから。
ずっと、俺の傍にいてくれ。
もう、何も思い出さなくていい。
そっと、魚の痣にキスをした。
ふっと目覚めたリナさんが、隣にいる俺を見て、驚く。
続く