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昼時で、忙しさのピークの親父の店。
俺もリナさんもレイナさんも、何故かトモヤも走り回っている。
「こらっ! あんたは邪魔だからリナさんにまとわり付くんじゃないの!」
皿を持つ腕を引っ張られる。
「カイト、こないだテレビ見たよ。あんまり映ってなかったなぁ」
「あーありがとう」
「あのコは話せないんだろう? 何で歌えるんだ?」
「さぁ」
この会話を何回繰り返したか。
あーもー、俺に聞くなー!
いつの間にか噂が流れていたらしく、親父の店にもたくさんの客が来るようになっていた。
ごった返す店内。
店の外にも並ぶくらい。
今までこんな事なかった。
ありがたいけど……。
常連が毎日来てのんびり過ごす、地元の定食屋。
あのだらだら酒を飲みながら過ごす雰囲気はもうない。
しかも、あの声の主も来てるかもしれないのだ。
気を抜く事無く、リナさんと客席に目を配りながら、走り回る。
客を追い出して、皆で飯を食う。
気を張りすぎて、何だかぐったりだ。
皆も忙しすぎて体力消耗してるみたいだ。
元気なのはトモヤと、売上げが上がって喜んでる母さんだけ。
言葉少なに飯を口に運んで食事を終わらせ、何となく外に出た。
少しずつ春に近づいて、太陽の光が強くなっている。
暑い。
空は青く澄んでいて、白い雲が流れている。
良い天気だなぁ。
そういえば、店の手伝いと小学校、クラブばっかりで、最近散歩もしてないな。
よし、夕飯時まで散歩しに行くか。
背伸びをして深呼吸する。
店からリナさんとトモヤが外に出てきた。
「何だよカイト! 一人で何してんの?」
「何にも。散歩行こうか」
「行く!」
トモヤがはしゃぐ。
リナさんも嬉しそうに笑う。
こめかみから、汗が湧き出る。
続く