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ずっと歩き続けて疲れたので、砂浜に腰を下ろして休憩する事にした。


まだ口赤いかなぁ。


隣で座るリナさんの唇が、口紅を塗ったみたいに赤くなっている。


白い肌に映えて、何だか艶かしい。


変な想像をしないように、リナさんの顔から視線を外して、海を見る。


海はいつもと変わらず、太陽の光を弾き、また吸い込んで青く輝いている。


汗をかいた皮膚を、海風が冷やしていく。


俺もクールダウンしなきゃ。



「今の生活、慣れた?」


リナさんが頷く。


「辛くない?」


首を横に振る。


「母さん、結構スパルタだろ?」


にっこり笑いながら頷く。


声を出さずに、『たのしい』とゆっくり唇を動かす。


最近はこうやって会話をしていた。


「本当に?! 良かった。


……前を覚えてないかも知れないけど……急に生活が変わって、


体とかキツイんじゃないかと思ってたから、さ」


『だいじょうぶ』


そう言う笑顔には、裏なんかなさそうで、俺はやっとホッとする。


俺が病院から引き取ってきて、今の生活になってしまったから、やっぱり責任を感じる。



辛い事があるなら、俺が守ってやらなきゃ。



ぽつりぽつりと会話をしていると、急に暗くなってきた。


空を見上げると、分厚い黒い雲が太陽を隠し、青空を覆い始めていた。


ヤバい! 来る!



「リナさん、走って!」



続く