17
ずっと歩き続けて疲れたので、砂浜に腰を下ろして休憩する事にした。
まだ口赤いかなぁ。
隣で座るリナさんの唇が、口紅を塗ったみたいに赤くなっている。
白い肌に映えて、何だか艶かしい。
変な想像をしないように、リナさんの顔から視線を外して、海を見る。
海はいつもと変わらず、太陽の光を弾き、また吸い込んで青く輝いている。
汗をかいた皮膚を、海風が冷やしていく。
俺もクールダウンしなきゃ。
「今の生活、慣れた?」
リナさんが頷く。
「辛くない?」
首を横に振る。
「母さん、結構スパルタだろ?」
にっこり笑いながら頷く。
声を出さずに、『たのしい』とゆっくり唇を動かす。
最近はこうやって会話をしていた。
「本当に?! 良かった。
……前を覚えてないかも知れないけど……急に生活が変わって、
体とかキツイんじゃないかと思ってたから、さ」
『だいじょうぶ』
そう言う笑顔には、裏なんかなさそうで、俺はやっとホッとする。
俺が病院から引き取ってきて、今の生活になってしまったから、やっぱり責任を感じる。
辛い事があるなら、俺が守ってやらなきゃ。
ぽつりぽつりと会話をしていると、急に暗くなってきた。
空を見上げると、分厚い黒い雲が太陽を隠し、青空を覆い始めていた。
ヤバい! 来る!
「リナさん、走って!」
続く