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店のドアを開けると、すぐにトモヤが飛び出してきた。


「リナーっ! お帰り!」


笑顔のリナさんに飛びつく……寸前にトモヤを止めた。


その勢いで飛びついたら、リナさん倒れるだろっ。



リナさんの具合が悪くなったのは、食あたりとか肉体的な事ではなく、


やはり記憶に関わる事だろう、と医者が言っていた。


「何かを見て記憶が戻ろうとして、でもそれを思い出すと精神的に耐えられないために、


思い出させまいとする。その葛藤の為に、激しい頭痛が起こったりするんです」


「これから何度も同じ事が起こるでしょう。


その度に記憶が少しずつ戻って点と点を結び、最終的に全てを思い出します」


「記憶を無くしていた間の記憶に関しては、消える人もいれば覚えている人もいます。


その人次第なので、私にも何とも言えません」



トモヤに引っ張られて、リナさんが笑いながら店の奥に進む。


あの笑顔の下に、どんな記憶が眠っているのだろう。



「リナ! ご飯一緒に食べようよ! 待ってたからお腹ペコペコだよ」


「リナさん、って言いなさい!」


「つーか、トモヤさっき飯食ってなかったっけ?」


「食べたけどさー、腹減ったもん!」


レイナさん、リョウイチさんが、ホッとした顔でリナさんを見ていた。


リナさんはさっきが嘘みたいに、穏やかに微笑んでいる。


賑やかな声を聞きつけて、父さん母さんも厨房から覗きに来た。



明かりが点ったような明るい空気が流れる。

 


あの時、リナさんの視界にあったもの。


空になった弁当箱。


海。


りんご。


果物ナイフ。



ナイフ……一つ目の点なのか?



続く