海で助けた女の人が、点滴を受けている。


病院の集中治療室。


口に酸素マスク。


髪の毛にはまだ海藻が付いたままだ。



女の人を毛布に包んで、おじちゃんのトラックに乗せてもらって病院に運んだ。


荷台で転がらないように、ずっと両手で支えていた腕が、段々と冷たくなっていく。


それだけ、女の人の体が冷え切っていたのだ。


呼吸をしていなければ、死んでいると思ったかもしれない。


病院に着くまでの間、少しでも暖めてやりたくて、手で体をさすった。


そんな俺の様子を見て、隣に座ってたトモヤも、女の人をさすりはじめた。


「! 冷たい!」


「温めてやって」


「この人、死んじゃうの?」


「死なない」


「だって、こんなに冷たいよ」


トモヤは泣きそうな顔で、女の人の足を一生懸命さすっている。


中々温まらない体。


死ぬなよ!



病院に着いて、集中治療室に運び込まれる。


邪魔になるからと入れてもらえなかった。


女の人が意識を取り戻すのは、いつになるか分からないと言われた。


どうなるか気になったので、残る事にした。


トモヤを付き合わせる訳にはいかなかったので、


おじちゃんに頼んで家まで送ってもらった。



点滴の黄色い液が、同じリズムで落ちていく。


女の人はまだ青白い顔をしている。



どのくらい海を漂っていたんだろう。



続く