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空いているシートに二人並んで腰掛ける。


ざわめく客席。


薄暗い照明の中、ライブが始まるのを待っているたくさんの客達。


男も、女も。


アーティストの登場を待っている。



アイツは寛いだ様子で、会場を見回している。


きちんと揃えて斜めに流された、スラリとした脚。


あの擦り切れたジーパンの中に、こんなに綺麗な脚を隠してたなんて。


知らなかった。


つか、ずるいだろ。


何だか騙された気分だ。



脚からゆっくりと視線を上げていく。


体のラインがくっきりと出るワンピース。


なだらかな曲線を描く腰。


きゅっと締まったウエスト。


柔らかく盛り上がった胸。


抱き寄せたら、パズルみたいにしっくりと馴染みそうだ。


馴染む?! ……俺何考えてる?


顔を見る。


流れてる曲にリズムを取りながら、ステージを観ている横顔。


丁寧にマスカラを塗った長いまつげ。


照明に反射する艶やかな唇。



アイツがふっと俺の方を向いて、視線が合った。



慌てたけど、何事もなかったようにグラスに手を伸ばす。


……何で目が合っただけで動揺してるんだよ、しっかりしろ俺。


「何飲んでるの?」


「これ? えーと、なんだっけ?」


「顔赤いよ? もう酔ってるの?」


「……かも」


アイツがシャンパンの細いグラスを唇に寄せる。


「水じゃなくていいのかよ?」


「今日はいいの。まだ時間も早いし、隣にアンタもいるし」


! 


細く立ち上るシャンパンの泡。


一つ一つ光を弾き返しながら、アイツの唇に飲み込まれていく。



客席の明かりが絞られて、ステージにスポットライトが当たり、


ピアノの心地良い音が響き始める。


会場が期待と拍手で満たされていく。


ステージからの照明で暗闇に浮き上がる、アイツのうっとりとした横顔。



綺麗だ。



続く