3
ライブ会場があるビルのロビーにあるカフェ。
店内にはR&Bが流れてる。
それだけで店の印象が10倍良く感じられる。
この時期BGMはクリスマスソングって店が多いからな。
心地良い音楽に足でリズムを取りながら、仕事で固くなった気持ちを解す。
湯気を立てるカップがテーブルに置かれる。
カフェオレが旨い季節になったよなぁ。
今日冷え込むって天気予報で言ってたし。
冷えた手にカフェオレボールを持って息を吹きかけながら、
ガラス越しにロビーを見る。
アイツまだかなぁ、腹減ったんだけど。
ロビーには大きなクリスマスツリーが飾られていて、たくさんの人が行き交う。
皆これから過ごす時間に期待して、嬉しそうな顔をしてる。
着飾ったたくさんの人達の手に、カラフルな色の紙袋。
プレゼントか。
あ、アイツに何か買ってきてやれば良かったな。
俺って気が利かねぇ……ま、いっか。
雑踏の中、一人の女がこっちに歩いてい来るのが見える。
ウエストが絞られて、肩パッドの入った細身の黒いコート。
ミニスカートから伸びた、無駄なもののついてない脚。
細い足首を包む黒いエナメルのヒール。
赤い薔薇の生花のついたリボンを首に巻いて。
待ち合わせに遅れているのか、急ぎ足で歩いてる。
良い女だなぁ。
あんな女と一緒に歩いたら、自慢できそうだな。
……あれ、店に入ってくる。
待ち合わせかな。
店のドアを開けた女性が、俺の方へ真っ直ぐ歩いてきた。
距離が近づくにつれ、本当に綺麗なのが分かって、
俺はカフェオレを持ったまま、ボンヤリと女性に見とれていた。
続く