69


窓にパトカーの赤いランプが点滅している。


たくさんの警察官が部屋へ上がりこみ、あっという間に人が溢れる。


指紋を取る人。


縄跳びをビニール袋に入れる人。


父さんの体を鋭い目で観察する人。


写真を撮る人。


テレビドラマのような風景を、ぼんやりと見ている。


これは現実なんだろうか。



現実に引き戻すのは、俺の腕にかけられた手錠。


その冷たく固い感触。



父さんが青いビニールシートで包まれ、タンカに乗せられる。


「父さんは何処へ行くんですか?」


「検死に回って、霊安室に置かれるんだ」


「その先は?」


「火葬して、無縁仏になる」


「……俺がこの先引き取るまで……骨は預かってくれるんでしょうか」


「引き取りたいのか」


「はい……たった一人の父ですから」


少し白髪の混じった、父さんと同じくらいの歳の刑事が、ちょっと驚いたように俺を見た。


「……わかった」


「……父さんを、よろしくお願いします」



父さんが部屋の外へと運び出される。


迎えに行くまで、父さん、ちょっと待ってて。



ざわつく部屋の中、遺影の母さんだけが笑っている。



続く