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キツイ状況は変わらないのに、一つ楽しみがあると、


何とかなる、って思えるのは何故だろう。



昨日店員さんを送り届けた後、家に戻ってすぐに寝て、


またいつもの時間に目覚めた時、すっきりと起きれた。



配達所に行って朝刊の準備をしていると、兄さんたちに言われた。


「何か良い事あったのぉ?」


「え? 何もないですよ」


「そう? 何か楽しそうだけどぉ」


「そうですか?」


「好きな女でも出来たんじゃねー?!」


「やだぁ、男になっちゃったのぉ?」


「おとっ……違いますよっ」


「あらあら真っ赤になっちゃって、ホントにヤっちゃったのかしらぁ」


「女はいいぞー。どんどんヤれ」


「だから違いますって」


そうからかわれつつ、嫌な気はしなかった。



好き……?


か、どうかは分からないけど。


店員さんの顔を見るとホッとするし、父さんやお金の事で凹んでても、一瞬忘れられる。


店員さんの顔を思い出すと、よし頑張ろう、って思える。



朝焼けの丘の上に自転車を止めて、街を見下ろす。


夜と朝の狭間、紫色からピンク、オレンジへと色を変えていく空。


その中で輝きを消していく星達。


徐々に輪郭を現していく街を見下ろしながら、店員さんの事を考えた。



好きとか嫌いとかじゃなく、俺の一番近くにいる人。


これからも彼女の傍にいる為に、頑張ろう。


今日も一日、一生懸命生きよう。



ペダルを力強く踏み込み、自転車を漕ぎ始める。



続く