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うーん、眠い。


新聞配達を始めて1ヶ月。


夜中起きるのにもだいぶ慣れたけど。


最初は大変だった。


自転車のカゴに乗せた新聞の重みで、なかなか自転車がこげない。


ちょっとした拍子に倒れそうになる。


雨の日なんか最悪だ。


雨に濡れないように気をつけながら配達する。


重い自転車が、更に重く感じる。



何とか配り終わって配達所に戻ると、皆ご飯を食べてた。



ここは朝刊を配った後、皆で食事をするんだとか。


奥さんの手作りのご飯。


おかずとご飯とお味噌汁。


久しぶりに手料理を食べた。


美味しい。


ガツガツと食べていると、もう学校に行く時間になる。



黒板に先生が英語を並べていく。


ここで覚えてしまうつもりで、ノートに写す。


耳の中を、先生の口から出る英語が通り抜けていく。



通帳の残高を思い出していた。


あんまり残ってない。


アパートへの引越し代でだいぶ使ってしまった。


後は、何ヶ月分かのアパートの家賃で消えてしまうだろう。


俺の朝刊配りだけじゃ、やっていけない。


やっぱり……。



教室の窓から見える木は葉を落としていて、秋の気配だ。


枝越しにスッキリとした秋晴れの空を見上げながら、やっと俺は決心した。



続く