14


家の中に増えていく、キックミットやサンドバック。


父さんが一つずつ買って、揃えてくれたのだ。



中学生になっていた。



身長が伸びて、グローブがすぐに小さくなる。


すぐに汗をかくから、Tシャツも何枚も着替える。


この頃には、ジュニアの試合にも出ていた。


その試合着も、父さんが用意してくれた。



試合に勝つと、父さんは本当に喜んでくれた。


負けると、悲しそうに本気で怒った。


怖いくらいに。


怒鳴られるのも嫌だったけど、口をきいてもらえないのが一番嫌だった。


だから必死で戦って、勝ち続けた。



増えていくトロフィー。



母さんは、いつも試合になると泣いていた。


俺が殴られたり蹴られたりするのが、無性に腹が立って悲しかったらしい。



それでも母さんは何も言わなかった。


いつも笑っていて、その顔しか思い出せない。


毎日出る大量の洗濯物を、清潔で良い匂いにしてくれるのも、


栄養バランスを考えた美味しい食事を作ってくれるのも、


全部母さんからの応援だった。




会社員だった父さん。


パン教室を開いていた母さん。


二人とも仕事で忙しかったはずなのに、空いた時間を全て俺に注いでくれていた。


だからこそ、俺は二人に応えたくて、頑張った。


ボクシングも、勉強も。



父さんも母さんも、俺の最強の味方だった。


そして俺の未来は、子供の頃に見た光溢れるリングに続いていた。



続く