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家の中に増えていく、キックミットやサンドバック。
父さんが一つずつ買って、揃えてくれたのだ。
中学生になっていた。
身長が伸びて、グローブがすぐに小さくなる。
すぐに汗をかくから、Tシャツも何枚も着替える。
この頃には、ジュニアの試合にも出ていた。
その試合着も、父さんが用意してくれた。
試合に勝つと、父さんは本当に喜んでくれた。
負けると、悲しそうに本気で怒った。
怖いくらいに。
怒鳴られるのも嫌だったけど、口をきいてもらえないのが一番嫌だった。
だから必死で戦って、勝ち続けた。
増えていくトロフィー。
母さんは、いつも試合になると泣いていた。
俺が殴られたり蹴られたりするのが、無性に腹が立って悲しかったらしい。
それでも母さんは何も言わなかった。
いつも笑っていて、その顔しか思い出せない。
毎日出る大量の洗濯物を、清潔で良い匂いにしてくれるのも、
栄養バランスを考えた美味しい食事を作ってくれるのも、
全部母さんからの応援だった。
会社員だった父さん。
パン教室を開いていた母さん。
二人とも仕事で忙しかったはずなのに、空いた時間を全て俺に注いでくれていた。
だからこそ、俺は二人に応えたくて、頑張った。
ボクシングも、勉強も。
父さんも母さんも、俺の最強の味方だった。
そして俺の未来は、子供の頃に見た光溢れるリングに続いていた。
続く