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コンビニで冷えた発泡酒を手に取る。


350mlの6本セット。


これが一番少なくて済む。


ボトルの焼酎なんて買って帰ったら、それこそ全部飲んで病状が悪化してしまう。


痛みが出て辛いのは自分なのに、何故酒を飲むのだろう。


……理由は分かってる。


でも、俺にはどうにもできない。



レジで会計を済ませる。


息をすると、まだ鳩尾が痛い。


呼吸するのも苦しい。


鳩尾を押さえる俺を見て、レジの女の子が話しかけてきた。


「大丈夫ですか?」


声の主を見る。


俺より少し年上……かな?


「店のイートインで少し休んでいったら?」



店員さんの言葉に甘えて休ませて貰う事にした。


テーブルにうつ伏せていると、少しだけ痛みが和らぐ。


疲れがどっと出て来て、眠気に襲われる。


帰りたくない。


でも父さんを放っておけない。


父さんには、俺しかいないんだ。



眠さと戦って朦朧とする俺の目の前に、紙コップが置かれる。


温かそうな湯気と、香ばしいコーヒーの香り。


さっきの店員さんが持ってきてくれたのだ。


「廃棄のヤツで悪いんだけど、良かったら」


「……ありがとう」


正直、飲む気は全く起こらなかった。


けど、店員さんの心遣いが嬉しくて、紙コップを両手で抱える。


温かい。

 


その温かさに、俺はちょっとだけ涙ぐんだ。



続く