9
コンビニで冷えた発泡酒を手に取る。
350mlの6本セット。
これが一番少なくて済む。
ボトルの焼酎なんて買って帰ったら、それこそ全部飲んで病状が悪化してしまう。
痛みが出て辛いのは自分なのに、何故酒を飲むのだろう。
……理由は分かってる。
でも、俺にはどうにもできない。
レジで会計を済ませる。
息をすると、まだ鳩尾が痛い。
呼吸するのも苦しい。
鳩尾を押さえる俺を見て、レジの女の子が話しかけてきた。
「大丈夫ですか?」
声の主を見る。
俺より少し年上……かな?
「店のイートインで少し休んでいったら?」
店員さんの言葉に甘えて休ませて貰う事にした。
テーブルにうつ伏せていると、少しだけ痛みが和らぐ。
疲れがどっと出て来て、眠気に襲われる。
帰りたくない。
でも父さんを放っておけない。
父さんには、俺しかいないんだ。
眠さと戦って朦朧とする俺の目の前に、紙コップが置かれる。
温かそうな湯気と、香ばしいコーヒーの香り。
さっきの店員さんが持ってきてくれたのだ。
「廃棄のヤツで悪いんだけど、良かったら」
「……ありがとう」
正直、飲む気は全く起こらなかった。
けど、店員さんの心遣いが嬉しくて、紙コップを両手で抱える。
温かい。
その温かさに、俺はちょっとだけ涙ぐんだ。
続く