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酒のグラスが数え切れないくらい変わっていく。
さすがにオレはもう飲めなくて、ミネラルウォーターにした。
ホント酒強いなぁ。
「小さい頃から飲まされてたからさ」
「役者のおっちゃん達にか?!」
「そうそう」
そう言いながら、太一の顔はだいぶ赤くなってきている。
あれだけ飲んだら当たり前だよな。
「今度の舞台キスシーンあってさぁ」
「へー」
「何で嬉しそうなんだよ?」
太一が軽く睨む。
「あ、オレ嬉しそう?」
「うん。……本当にキスしなくちゃいけなくてさ、まいるよ」
「えっ! 舞台ってフリだけなのかと思ってた」
「だろう? 演出家が超リアリティを求めたいとか言って」
「ふーん。映画だったら分かるけどね」
「そう! しかも相手男なんだぜ」
「ええっ、男?!」
「全然出来てないから、2丁目行って来いとか言われちゃってさぁ」
「マジで?!」
「知らないヤツとキスなんか出来ないよ」
「だよなぁ、しかも男だろ?」
「同じ男だったら千明の方がいいよ」
「ええー?! どうしよっかなぁ」
「つか、練習させて」
「……はっ?」
「ちょっと目つぶっててくれればいいからさ」
「いやいや」
「いいからいいから」
「いいから、じゃないよっ!」
いつの間にか太一の手がオレの首に回っていて、ホールドされてしまった。
鍛えてるから、意外と力があるのだ。
太一の顔が近づいてくる。
その目が……イタズラ小僧みたいに笑ってる。
からかってやがるっ。
「もう、冗談はいいって」
と太一の手を外そうとすると、太一の目が少し悲しそうに瞬いた。
えっ?!
そう思った瞬間に、顔が斜めに傾けられ、口角の上がった唇が近づいてきて……。
……おいっ、ちょっ、た、太一……、
STOP!!
『STOP!!』
了