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何だか息苦しくて窓から外を見ると、大きなトラックと、


見慣れた顔のおっちゃん達が乗った車が停まってる。


このまま行くのか?!



「じゃあ守山君、元気でね」



クソババァが促して、タイチが教室から出て行く。


父ちゃんがドアの外に立っていて、クソババァにお辞儀をしている。


「元気でねー」と口々に声をかける女子たちに、タイチが笑顔で手を振る。


オレの方を見ない。


最後にもう一度お辞儀をして、くるりと背を向け歩き出すタイチ。


静かな廊下を歩いていく足音が小さくなっていく。



「はーい、ではホームルームの後に、体育館に移動します」


教室が静かになり、クソババァが話し始める。


でもそんなモノは耳に入ってこなくて。


頭の中はタイチでいっぱいだった。



タイチが校門を出たら、車に乗って次の町へ行ってしまう。


そうしたら、もう二度と会えない。


連絡先とか何にも知らないし。



このまま行かせていいのか?


オレ、タイチから何も聞いてない。


どうしてオレを避けてたのか。


どうして母ちゃんと会えないのに、オヤマを続けるのか。


どうして、自分を隠すのか。


どうして。


どうして。



考えれば考えるほど、また腹が立ってきた。


何も聞かないまんま、行かせるもんか!



続く