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長く影が伸びる土手を通って、紫色のテントに向かう。


給食のパンと、今日の授業のノート持って。



あの事故の日以来、タイチは学校に来てなかった。


クソババァが電話したら、「風邪を引いてる」と言われたらしい。


病院にも来なかったし。


またご飯食べてないんじゃないかな。


ダイエット中のOLみたいなのでも、食べてればいいけど。


また家へ連れて帰って、母ちゃんの飯食べさせなきゃ。



オレの影の隣に、もう一つ影が伸びる。


ゼーハー息が切れて、顔が赤くなってる。



「エノヤン、何してんの?!」


「ア、アイツのとこ行くんだろ? オレも一緒に行くよ」


「何で?」


「何でって……何でもだよ!」


真っ赤な顔で、エノヤンはそっぽを向いた。



エノヤンも気になってたのかな、タイチが学校に来ない事。


まぁ、事故の原因と言えば、エノヤンに追っかけられた事だし、


それからタイチが学校に来なくなったら、そりゃ心配するか。


だったら素直にそう言えばいいのに。



二人で土手を歩いてたら、何故かどんどん早歩きになってきて、


テント近くの繁華街に入った時には、意地になって競争してた。


あ、暑ぃ。


また汗かいちゃったなぁ。



続く