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教室に入ると、みんなが一斉にオレを見た。
「もう大丈夫なのかよ?」
「ギブスすごいね」
「こないだクリームシチューだったよー」
いろんな方向から聞こえてくるクラスメートの声。
エノヤンは、わざとそっぽを向いている。
エノヤンが見舞いに来て、病室に入ってきたと思ったら、
ものすごい勢いで謝り倒してワンワン泣いてた。
「オ、オレ、えっぐ、ぐ、あ、あんなコ、事になるとオモッ……ひっひ……っぐ、
ご、ごめ……んんんぐー……あああーっぐ……」
声がでかいんだよエノヤンは!
周りの人みんな見てんじゃん、恥かしいから泣き止んでくれー!
やっと泣き止んだエノヤンの顔は、涙と鼻水でグシャグシャだった。
……何でオレがエノヤンの顔拭かなきゃなんないんだよ。
で、お見舞いに持ってきたプリンを一緒に食べて、帰っていった。
それがあるもんで、恥かしいんだろな。
何しろクラスじゃ強い男で通してるからな。
そっぽ向いたまま、横目でオレの事見てるし。
大丈夫だから、誰にも泣いた事は言わないから。
たぶん。
タイチの席を見る。
肩掛けカバンがない。
タイチもいない。
まだ午前中なのに。
具合でも悪いのかな。
続く